実写『岸辺露伴は動かない』シリーズ「ヤバすぎ…」ゲストキャラを演じた俳優が披露した「ホラーな演技」の画像
ドラマ『岸辺露伴は動かない』©LUCKY LAND COMMUNICATIONS/集英社 ©2021 NHK / P.I.C.S.

 2025年5月に映画『岸辺露伴は動かない 懺悔室』が公開されることで再び話題になっている、『岸辺露伴は動かない』シリーズ。本シリーズは、荒木飛呂彦さんによる『ジョジョの奇妙な冒険』のスピンオフ作品『岸辺露伴は動かない』の実写化だ。

 本シリーズでは、主人公・岸辺露伴を演じる高橋一生さんを中心に、いろいろな俳優が脇を固め奇妙な出来事が描かれる。基本的には1話完結型で、じわじわ迫ってくるような恐怖が特徴的だ。その独特の雰囲気を見事表現できているのは、主演の高橋さんはもちろん、毎回のゲストキャラを演じた俳優の素晴らしい演技もあってこそだろう。

 そこで今回は、『岸辺露伴は動かない』シリーズでゲストキャラを演じた俳優の、見事だった「ホラーな演技」を振り返っていきたい。

※本記事には『岸辺露伴は動かない』シリーズの内容を含みます

■「くしゃがら」に憑りつかれる姿が怖かった…森山未來さん

 まず紹介したいのが、第2話「くしゃがら」の森山未來さんだ。この話で森山さんは、謎の言葉「くしゃがら」の意味を知りたいという欲求に憑りつかれた漫画家・志士十五を演じている。

 「くしゃがら」という言葉を知って以来、どんどん様子がおかしくなっていく十五だったが、特に怖かったのが終盤に露伴の家を訪れるシーンだ。

 彼はここで、ピザを口に咥えながら窓に顔面を押し付けるという衝撃の登場を果たす。……という情報だけだとシュールでコミカルにも思えるが、実際観ているときは雰囲気が異様すぎてそれどころではなかった。

 その後、ふらふらと家に入ってきて、ピザを“くしゃがらの手がかり”と言い出し「くしゃがらピザだ!」などと叫ぶ十五の姿は、意味不明で訳が分からない。その後もドン引きする露伴と編集者の泉京香をよそに、ところどころに「くしゃがら」という言葉を織り交ぜながら延々と話し続ける。

 このときの十五は目が完全に虚ろになっていて、ブツブツしゃべっていたかと思うと突然豹変して叫び出す姿もかなり怖かった。見るからに情緒が不安定になっており、何をするか分からない雰囲気が見事表現されていた……。

 最終的には露伴の「ヘブンズ・ドアー」によって素の十五に戻るのだが、その緩急をつけた演技も素晴らしいと思った。視聴者からは“荒木キャラが動いている……”という感動の声もあがっており、森山さんの表現力の凄まじさが分かる。

■マッチョな肉体も見逃せない!笠松将さん

 続いては、第4話「ザ・ラン」の笠松将さんを見ていこう。このストーリーでは、体づくりをきっかけに「走ること」にのめり込み過ぎた男・橋本陽馬がどんどんおかしくなっていくさまが描かれている。

 走ることを最優先するうち、自分が邪魔だと感じたものや人間は容赦なく「取り除く」という思考に変わっていく陽馬。モデルのオーディションに受かるため体づくりを始めたのに、ランニングを優先してオーディション参加を取りやめるという本末転倒っぷりである。

 すべてを走ることに捧げる陽馬の姿は常軌を逸しているが、中でも恋人の早村ミカに対する態度はひどいものだった。食事に注文をつける場面はまだ許容できる範囲内だったが、ミカ宛ての荷物を持ってきた宅配業者が何度もインターホンを鳴らしたことにブチギレるあたりから、どんどん雲行きが怪しくなっていく。

 ついにトレーニングのためミカの金を勝手に使い込むようになった頃には、もう完全に手遅れになっていた。怒るミカを前にしても表情を一切変えず、淡々と話す陽馬……。まるでミカのほうが間違っているとでも言いたげだ。恋人のことを人間として扱っていないようなこの態度には、ゾッとさせられてしまった。

 極めつけは、賃貸の部屋(しかもミカの部屋)をボルダリング用にリフォームし、出ていけと叫ばれるシーンだ。ミカは何度も怒鳴り散らすが、陽馬は一切動じることなく天井を登り続けていた。ちなみにここの演技はCGなしで、しかも笠松さんはボルダリング初心者だったというのだから、そういう意味でも驚きである。

 陽馬を演じるにあたって肉体もしっかり作り込んでいた笠松さん。終盤での陽馬のマッチョさは見せどころのひとつだが、まるで彫刻のような美しい肉体に仕上がっていた。

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