映画だけじゃない!『ドラえもん』ジャイアンがイイ奴過ぎたレア回「このかぜ うつします」「ドラえもんに休日を!!」「ハッピーバースデイ・ジャイアン」にも…の画像
アニメ『ドラえもん』公式サイトより「ジャイ子の新作まんが」(C)藤子プロ・小学館・テレビ朝日・シンエイ・ADK

 藤子・F・不二雄さんの『ドラえもん』に出てくるガキ大将キャラといえば、やはりジャイアンだろう。ジャイアンは野球で負けたら八つ当たりのようにのび太をいじめたり、無理やりおもちゃを奪ったりとやりたい放題。なかでも「おまえのものはおれのもの、おれのものもおれのもの」という彼のセリフは、あまりにも有名だ。

 そんないじめっ子としてのイメージが強いジャイアンだが、妹・ジャイ子に対してはとても優しく、ジャイ子のためなら何だってする良き兄でもある。さらに映画『ドラえもん』シリーズでは強く優しい一面をよく見せており、こんなにも頼りになる仲間がいて良かったと思うシーンもたくさん登場する。

 だが、実は原作でも「イイ奴過ぎる」ジャイアンのエピソードは稀に確認できる。ここではそんなジャイアンの良い面が見えるレアシーンを振り返りたい。

 

※本記事には作品の内容を含みます

 

■実は友人思いのイイ奴「このかぜ うつします」

 てんとう虫コミックス2巻に登場する「このかぜ うつします」に登場するジャイアンは、なぜかとても優しい。

 風邪を引いて寝込んでいるのに、どうしても出社しようとしているのび太のパパ。その様子を見てドラえもんが出したのが、糸電話のような見た目をした「風邪をうつす機械」だった。これを通して咳を吹き込むと、対話した相手が風邪を引き、自分は治るというものだ。

 パパの風邪を引き受け、次の風邪をうつす相手を探しに行くのび太。途中でスネ夫に風邪をうつすも、スネ夫の事情を知ってまた風邪を引き受け、憎きジャイアンに風邪をうつそうとする。

 しかしそこで会ったジャイアンからは、「だいじにしろよ。いまのかぜは、たちが悪いそうだ。うちにいいくすりがある。もってこようか」と、なんと本気で心配されてしまうのだ。その言葉に躊躇したのび太は「こんなときに、あんなやさしいこというなんて、ひどい!」と言いつつも、結局、ジャイアンに風邪をうつすことをしなかったのである。

 いつものジャイアンなら「なんだ、面白そうなの持ってるな」なんて道具を横取りする展開が多いだろう。しかしこのエピソードでのジャイアンは、本気でのび太の体調を心配する友人思いのイイ奴であった。

■いじめっ子からのび太を救った「ドラえもんに休日を!!」

 コミックス35巻の「ドラえもんに休日を!!」に登場するジャイアンは、いじめっ子からのび太を救う正義の味方である。

 ある日、いつも自分の面倒を見てくれているドラえもんに、丸一日休んでもらおうと思いついたのび太。ドラえもんは喜びつつものび太を心配し、何かピンチが起きたらこれを鳴らせと、ひみつ道具の「よびつけブザー」を渡す。

 絶対にブザーを鳴らさないと決心したのび太は、ジャイアンやスネ夫からの意地悪にも耐え、犬に追いかけられても木に登って耐える。しかしその後、トラックの荷台へ落ちてしまい、隣町のいじめっ子コンビにぶつかるなど災難が絶えない。

 それでものび太はブザーを鳴らさない。それどころかブザーを自ら踏みつぶして破壊し、いじめっ子たちからやられる覚悟を決めるのだ。その様子を見ていたジャイアンは、スネ夫とともに「あいつにあんな根性があったとはな……」と、目を丸くして感心し「のび太、力をかすぜ!」と、いじめっ子たちからのび太を救うのであった。

 この話では、当初ジャイアンはのび太をいじめる立場だった。しかしのび太が本気でドラえもんのことを思っている様子に何か思うところがあり、考えをあらためたのだろう。

 どうせなら最初からイイ奴でいてほしかったが、いじめっ子から一転し、正義の味方と化すジャイアンはカッコ良かった。

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