野沢雅子「悟空は私の分身、常に“ぴったり一緒”です」88歳のレジェンド声優が語る『ドラゴンボール』への想いの画像
写真提供/野沢雅子

 2024年10月から放送が開始されたアニメ『ドラゴンボールDAIMA(ダイマ)』(フジテレビ系)は、クライマックスを迎えている。同作は鳥山明さんが原作、ストーリー、キャラクターデザインを担当している作品でもある。

 その『ドラゴンボール』シリーズで、約40年ものあいだ主人公・孫悟空などの声を務められてきたのが大ベテランの野沢雅子さん(88)。「第66回毎日芸術賞特別賞」を受賞され、今年2月の贈呈式では「182歳まで(声優を)やろうと思っております」と力強く宣言された。

 そんな野沢さんに『ドラゴンボール』という作品や、長年演じてこられた「孫悟空」などに対する想いを語っていただいた。

■声優歴60年を超える野沢雅子さんが語る『ドラゴンボール』と「孫悟空役」

――『ドラゴンボールDAIMA』制作決定の一報を聞かれたときは?

野沢雅子さん(以下、野沢) 決まったと聞いたときは、まず「わ! やった!」です。「やった、よかったなあ」と思いました。それから小さな姿になった悟空を見たときに「無邪気でかわいい」と思いました。この(小さな悟空の)姿が好きなんですよ。

――悟空は小さくても強いですよね。

野沢 私の中でね、悟空はなんでもできると思っているんですよ。悟空自身は自由自在に力を出せるとは思っていないんだろうけど、こう「はっ!」と出すとそれができちゃう。そういう力を持っていると思います。

――40年近く演じてこられた「悟空」とは、どのような存在ですか?

野沢 もはや今、悟空は私の分身です。常に「ぴったり一緒」という感じがします。

――悟空の一番好きな部分はどこですか?

野沢 くよくよしない。小さいことは考えないところですね。カラッとしている悟空の性格が大好きです。嫌なことがあっても「なんだそれ」と、サラッと流すところが好きですね。

――悟空ができることで、野沢さんが憧れているところは?
野沢 空を飛べたらいいですね。いろいろなところを見られるし、いろいろなところに飛んで行けるので。

――悟空を演じられるときに意識されていることは?

野沢 いつも入り込んじゃっているんです。悟空になりきっちゃってます。スタジオにいるときは自然と(悟空が)入っちゃっているんですよね。

――『DAIMA』で小さくなった悟空と大人の悟空は、どのように演じ分けていますか?
野沢 とくに意識していないです。とにかく悟空を見たら、すぐそこに入り込んでいけるんです。だから小さな姿の悟空を見たら「パッ」と自然に変わりますね。

――『ドラゴンボール』は海外でも人気ですが、印象に残っていることはありますか?

野沢 アメリカに行ったときに「かめはめ波―!」をやったら、海外の方たちもみんなで(かめはめ波を)撃ってくれましたね。私は英語を話せないのですが、「かめはめ波で通じ合えているな」と感じました。

――声優歴が60年を越えた野沢さんにとって、「アニメ」とはどういう存在ですか?

野沢 アニメは楽しみながら誰かと繋がることができると思っているので、小さな輪から大きな輪にずっと広がっていってほしいです。日本だけでなく、世界中に。

 アニメは言葉の壁も越えて誰でも分かるものだと思います。アニメをきっかけに、世界中がひとつの輪になってほしい。あまり口に出したことはないのですが、いつも心の中で思っています。

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