
2024年11月21日発売の『Vジャンプ』(2025年1月特大号・集英社)より、『ドラゴンクエスト ダイの大冒険 勇者アバンと獄炎の魔王』(原作:三条陸氏、作画:芝田優作氏)の連載が再開された。
オリジナルの『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』(監修:堀井雄二氏、原作:三条陸氏、作画:稲田浩司氏)の15年前の世界が舞台である本作。第2部となる今回は、勇者・アバンが家庭教師となり幼いヒュンケルとともに登場する「先生編」だ。
第1部「勇者編」にて、若き日の勇者・アバンの良き理解者として登場したのが今回紹介する「マトリフ」である。
オリジナルでは大魔道士でありポップの師匠として登場したマトリフ。意地悪かつスケベな性格と困った男なのだが、強大な魔王軍に対抗するために欠かせない助言をダイたちに与えてきた。そこで今回は、オリジナルにおける大魔道士マトリフの鋭い指摘を見ていこう。
※本記事には『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』の内容を含みます
■最終決戦にもつながる伏線! 仲間のピンチを救うために効果を発揮するルーラの重要性
魔王軍六軍団長のひとり・フレイザード率いる氷炎魔団との戦いで大ピンチに陥ったダイたち。このままでは全滅必至となる中、マァムが機転を利かせて気球船に乗って脱出するも、追手により気球船が炎上し始めてしまう。これを助けたのが近くに住んでいたマトリフで、その後ポップの指導に携わるようになる。
マトリフが最初にポップに教えたのは瞬間移動呪文(ルーラ)。ゲーム『ドラクエ』シリーズでもおなじみで、一度訪れた町などに瞬間移動できる素晴らしい呪文である。
この特訓がまた凄まじく、後ろ手に縛って重りを付けた状態で水中に沈められ、そこから魔法力を放出して脱出させるという荒業。
死に物狂いで水中から脱出したポップに対し、マトリフは先にルーラでパプニカへ戻るからポップも帰ってこいと言う。置いていくんだ……と思っていたら、案の定ポップは疲れやマトリフへの不信感から「ルーラなんて覚えたって戦いの役には立たない」と、つい余計な一言を言ってしまった。
これにカチンときたマトリフは「…生意気ぬかすなッ!!!」と一喝。「魔法使いの魔法ってのはな 仲間を守るためのものなんだ」「もしおまえがルーラを使えていたら 炎上する気球船からたやすく仲間を救えたことがわからんのか!!?」と言い放つ。
まさにド正論で、ポップはぐうの音もでない。確かにゲームでも戦闘中にルーラが使える場面があり、大ピンチの時に筆者も使ったことがあったものだ。
ひとり置いていかれたポップは何とかルーラを使って仲間と合流し、以降はマトリフのことを師匠として尊敬するようになっていく。
原作の終盤ではダイとハドラーの最終決戦のあと、死神キルバーンのダイヤ・ナインにより、凄まじい炎が襲う。救出に駆け付けたポップのアイデアから、極大消滅呪文(メドローア)とルーアの合わせ技で脱出に成功した。
あの絶望的な状況でルーラを使うなんて……ポップの選択もすごいが、マトリフの指摘があったからこそ思いついたアイデアともいえるだろう。
■常にクールであれ!いつでも冷静沈着で頼れる魔法使い
竜騎将バランとの激闘を終え、ダイやヒュンケルたちも満身創痍となる中、一人元気なのがバランによって生き返ったポップ。もちろんこれは虚勢で、ポップも実は疲労困憊の状態だった。
そこへ突如現れたのがマァムだ。マァムは武闘家になるべく修行へ旅立ったこともあり、バラン戦は離脱していた。頼れる仲間の復帰とあってポップも大喜びで迎えるのだが、マァムはキスを迫ろうとするなど積極的でドギマギしてしまう。
これはもちろんマァムではなく、妖魔司教ザボエラが変身呪文(モシャス)で変装した姿。ザボエラが放つ眠りの魔香気で意識が朦朧としたポップは、首筋に爪を突き立てられ神経毒を注入されてしまう。
ダイやヒュンケルも眠りにつく中、ザボエラとともにハドラーも駆け付けており、意識は保っているものの動けないポップは絶対絶命の大ピンチ。それを救ったのがマトリフである。
マトリフはだまし討ちを喰らったのは洞察力が足りない証拠とポップを諭し、「よく覚えとけ 魔法使いってのは つねにパーティーで一番クールでなけりゃならねえんだ」と続ける。そして憎きハドラーを前にしても、閃熱呪文(ベギラマ)と解毒呪文(キアリー)を繰り出し、同時に2つの呪文を使うという離れ業を披露した。
この指摘も最終決戦でポップの役に立つ。大魔王バーンの「天地魔闘の構え」を攻略する際、ダイが熱くなるのを抑えてクールに戦況を見守り、結果として劣勢を跳ね返した。