“引退の涙”に“伝説のかつらむき”も…『SLAM DUNK』最高の名脇役・魚住純が魅せた「泥まみれの生き様」の画像
『SLAM DUNK』VOL.13 [DVD](東映ビデオ) ©井上雄彦・アイティープランニング・東映アニメーション

 国民的バスケマンガとして知られる井上雄彦氏の『SLAM DUNK』(集英社)には、主人公・桜木花道をはじめ、華のあるキャラクターが多数登場する。しかし、その一方で「一見地味だが、実はめちゃくちゃ魅力的」なキャラクターも存在している。

 目立たない選手を応援するファンも多いと思うが、その中でも筆者は、陵南のキャプテン・魚住純に魅了されたひとり。今回はそんな最高に魅力的な名脇役、魚住が放った名シーンを振り返ってみたい。

※本記事には『SLAM DUNK』の内容を含みます。

■インターハイ予選の土壇場で自分のプレイスタイルを確立

 魚住は高校3年生でバスケ部部長、ポジションはセンターという具合に、湘北の赤木剛憲と共通点が多い。そのせいか、2人は本人たちが意識し合っているのはもちろん、周囲からもライバル扱いされている。もちろん、3年生としてラストチャンスにかける思いも同じだろう。

 そんな2人は、インターハイ予選決勝リーグでぶつかり合う。湘北VS陵南、勝ったほうがインターハイに出場できるという大一番だ。

 どちらも譲れない緊迫感あふれる試合展開の中、魚住は4ファウルとなり一時ベンチに下げられてしまう。しかし湘北に13点ものリードを許してしまい、我慢しきれなくなった田岡監督は、残り6分のところで魚住をコートに戻した。

 あと1つファウルを取られたら自身は退場、チームもかなりのピンチ……と、あとがない状況にもかかわらず、研ぎ澄まされた集中力を発揮して果敢に攻めていく魚住。自分がグイグイ前に出るのではなく、「点をとれる奴」にパスをつなぐことを選ぶ。 

 こうした彼の姿勢からは、“自分は赤木とは違う”、“自分なりのプレイスタイルで陵南を勝利に導く”という決意が感じられた。エースプレイヤー・仙道彰やオフェンス力のあるプレイヤー・福田吉兆を活躍させることに徹したのだ。

 「オレはチームの主役じゃなくていい」という魚住らしい堅実なプレイ。そのいぶし銀の活躍こそが、ここまで陵南を支えてきた最高の武器だったのではないだろうか。体を張ってリバウンドを取った後、仙道たちに「こういう仕事はオレに任せろ」という姿はあまりにも頼もしかった。

■感極まる姿にもらい泣き! 部長としての最後の挨拶

 激闘の末、惜しくも陵南はインターハイ出場を逃してしまう。その後の様子は、陵南メンバー・相田彦一の回想というかたちで描かれた。そこでの感極まった魚住のセリフや表情は、本当に胸に刺さる。

 部員たちの前で、「オレたちの代ではつかみそこねたが…」「次こそはお前らが…」と部の未来を後輩たちに託そうとする魚住。しかし“全国へ”と続けようとしたところで言葉につまり、我慢できずに涙を流してしまう。

 その際、彼の脳裏にはインターハイ予選での激闘がよぎる描写があり、筆者も思わずうるっときてしまった。結局最後まで言い切れず、同じく3年の池上亮二にバトンタッチするところも、なんだかいじらしい……。

 海南戦も湘北戦も紙一重の勝負だったが、海南戦は退場、湘北戦も4ファウルでフル出場できなかった。キャプテンという立場や彼の性格から考えて、相当自責の念や後悔もあったことだろう。「自分がもっとしっかりしていたら……」彼ならそう考えていると思うと、「それ以上の活躍もしたよ!」と励ましたくなってしまう。

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