■「天才ですから」
これにかんしては、もう何も言うことはないくらいだ。花道と言えばやはりこの「天才」というワードだろう。このセリフはストーリー全編を通してしばしば出てきて、花道の根拠のない自信をあらわす。そして、『SLAM DUNK』を締めくくる最後の一言でもある。
全国制覇の夢を成し遂げられなかった湘北メンバーは、それぞれの日常に戻る。背中を痛め療養中の花道は、海岸で晴子からの手紙を読んでいた。そこに現れたリハビリ担当の女性が「今日(のリハビリ)はちょっときついわよ」「耐えられる?」と言い、会話が進む。そして、最後のコマで、花道はハッキリと答える。
「天才ですから」
こうして物語は幕を閉じる。ときには「天才じゃないかも」と悩むこともあった花道だが、『SLAM DUNK』でこんなに「天才」という言葉が似合うキャラはいない。安西先生は「逸材」と表現していたが、根拠のない自信は本当だったのだ。
初めて読んだときは、物語が花道を象徴するこの言葉で締めくくられたことに、じんときてしまった。それから少し遅れて「これで本当に終わってしまうんだ」と、寂しさを感じたのも覚えている。
今回は花道のセリフを選んだが、ほかのキャラクターにも感動的なセリフや笑えるセリフがたくさんある。『THE SECOND SLAM DUNK』があると期待しつつ、ほかの試合がリメイクされるかもしれないので、あらためてじっくり読み込もうと思う。