『SLAM DUNK』涙が止まらない…バスケ素人・桜木花道の覚悟や想いがあふれ出る名ゼリフの画像
『SLAM DUNK』Blu-ray Collection VOL.1(TOEI COMPANY,LTD.(TOE)(D)) ©井上雄彦・アイティープランニング・東映アニメーション

 2022年に公開された映画『THE FIRST SLAM DUNK』から、早いものでもう2年が経ってしまった。筆者は『THE SECOND SLAM DUNK』があると信じて、今でもマンガや映画を見返すことがある。

 そこで思うのが、やはり本作は各キャラのセリフが秀逸であるということ。シリアスからギャグ要素まで興味深いものが多い。今回はその中から主人公・桜木花道のセリフを紹介する。目頭が熱くなるものばかりなので、ティッシュやハンカチをご用意いただきたい。

※本記事には『SLAM DUNK』の内容を含みます

■「ヤマオーはオレが倒す!!  by天才・桜木!!」

 こちらは一見すると花道の傍若無人っぷりが強調されるセリフなのだが、前後のシチュエーションを考えると実に彼らしく、とてもかっこいいセリフだ。

 インターハイ2回戦、山王工業高校との試合でのこと。相手チームのゾーンプレスに対応できない湘北はみるみるうちに点差を広げられ、36対60という逆転はほぼ不可能な状態に陥っていた。当然、湘北メンバーは半ば諦めムードで、メンバーの心の中も「負け」という言葉に侵されつつあった。

 そんな中、交代でコートに入った花道は関係者席の机の上に立ち、そこに置かれていた冊子をメガホン代わりにくるくる丸めて一言。「ヤマオーはオレが倒す!! by 天才・桜木!!」

 この後チームメイトに向かって「これで勝つしかなくなったぜ」と不敵な笑顔を浮かべる場面からもわかる通り、こんな風に言ってのけた目的は意気消沈していたメンバーの鼓舞である。これは誰にも負けない度胸があり、バスケットの素人である花道にしかできない行動だと思う。

 また、花道はずっと山王(さんのう)のことを「ヤマオー」と言っていたのでわざとではないと思うが、ここで「ヤマオー」と呼んでいるのもよかった。個人的には「相手がどこの誰か知らんけど、とりあえず相手になるなら倒す」という意味に感じられて、思わずゾクゾクしてしまった。実際、この後の花道のリバウンドから猛追を見せる湘北に心が震えたものだ。

■「オヤジの栄光の時代はいつだよ… 全日本のときか?」「オレは……… オレは今なんだよ!!」

 山王戦、もしくは作品全体を通して筆者が最高のセリフだと思うのがこれ。こんなセリフ言ってみたいという憧れすら抱きそうだ。

 試合中、選手生命に影響するかもしれないレベルで背中を痛めた花道は、プレイ続行不可能としてベンチに下がることに。しかし花道は痛みに顔を歪ませながらも無理してコートに出ようとした。それに対し安西先生は、異変には気づきつつも“どんどん良くなる君のプレイを 見ていたかったから”代えられなかったと白状し、彼をやんわり引き止める。残り時間はあと約1分。ベンチのメンバーは花道にも応援を促す……。

 しかしここで花道は、「オヤジの栄光の時代はいつだよ… 全日本のときか?」「オレは……… オレは今なんだよ!!」と食い下がる。言い回しや表情、間の取り方、何から何までかっこいい名シーンだ。

 ぶっちゃけ花道にとってこの試合はインターハイの一戦に過ぎないし、2年生・3年生とチャンスが残っている。でも、このメンバーでやるこの試合が、花道にとっては全日本代表の試合と同じくらいの価値があったのだ。

 不良で最初は赤木晴子に好かれることを目的としていた花道が本気でバスケットに向き合い、痛みをおしてまでもプレイするようになったこと。それだけで泣きそうなくらい感動してしまった。

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