湘北・安田に陵南・池上、海南・宮益も…『SLAM DUNK』印象的なプレイを見せた「控え選手の活躍」の画像
『THE FIRST SLAM DUNK』(C)I.T.PLANNING,INC.(C)2022 THE FIRST SLAM DUNK Film Partners

 井上雄彦氏の『SLAM DUNK』は、連載終了から30年近く経った今でもバスケットボール漫画の金字塔として多くの読者を魅了し続けている。作中ではスタメン選手たちの華々しい活躍に注目が集まりがちだが、実は控え選手たちも重要な場面でその存在感を発揮している。

 彼らの地味ながらも印象的なプレイの数々は試合の流れを変え、観る者に強い印象を残した。今回は、控え選手たちが見せた名プレイの数々を振り返り、彼らの奮闘がいかにチームに貢献したのかを紹介したい。

 

※本記事には作品の内容を含みます

 

■豊玉戦での見事なペースダウン「湘北・安田靖春」

 インターハイ初戦、湘北VS豊玉。試合開始早々、豊玉の得意とするハイスコアリングゲームとなり、湘北は連続で9点を奪われる展開に。試合をコントロールする役割を担うはずのPG・宮城リョータも、前日からのいざこざにより冷静さを欠いていた。

 ここで安西監督が桜木花道と交代で送り出したのが、ヤスこと安田靖春だ。「君が みんなをコントロールする いいね?」と送り出された安田は、まずカウンターに向かう宮城を「リョータ ストップッ!!」と制止し、自らドリブルでボールを運びながら「1本じっくり!!」と言って、試合を落ち着かせてみせる。

 そして安田は、ガラの悪い豊玉応援団の野次にも動じない。思い返せば、“バスケ部襲撃事件”のときも、暴れる三井寿たちに先陣を切って声を上げたのも安田だった。実はけっこう肝が据わっているのも、彼の特徴だろう。

 安田は赤木剛憲を使ったインサイド攻撃を展開し、湘北全国初得点をアシストする。その後、安田の冷静さとオーソドックスな戦術が功を奏し、前半は28ー34のロースコアゲームで終了。後半逆転への足がかりを作った安田の活躍は、控え選手としての彼の価値を証明したと言えるだろう。

■神の3P封じ、土壇場で牧からスティール「陵南・池上亮二」

 インターハイ神奈川県予選、陵南VS海南。仙道彰のPG起用が功を奏しリードを奪う陵南だったが、海南の牧紳一と神宗一郎の活躍で1点差に迫られる展開に。田岡監督は神の3Pシュートに対応するため、池上亮二を投入した。

 さすがディフェンスに定評のある池上だ。その後まったく神の3P描写がなくなったことから、かなり神を封じたことが予想できる。さらに試合終盤、残り10秒で牧がボールをキープする場面では後方からスティールを成功させ、逆転のチャンスを作ったのも池上だった。

 次の湘北戦でも、池上は途中交代で活躍。ハーフタイムのロッカールーム、田岡監督からの「三井をお前1人に任せていいか?」という問いに「やります」と答える池上が非常にかっこよかった。その後、池上は激しいディフェンスで三井のスタミナを確実に削り切り、途中交代に追いやっている。

 この2試合、結果こそ敗れることになったが、本作屈指のシューターである神と三井相手にきっちりと仕事をした池上は、間違いなく陵南の堅守を象徴する存在だった。

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