■中国拳法への誇りから相手を見下していた…烈海王
『刃牙』シリーズ屈指の人気キャラである中国拳法の達人・烈海王もまた、登場した頃はかなり尖っていたキャラのひとりだ。
『グラップラー刃牙』の大一番「最大トーナメント編」で地下闘技場に初参戦した烈は、自身が修める中国拳法への自負からか、相手を見下した態度を繰り返す。
1回戦で対戦したセルゲイ・タクタロフを「君らのいる場所は我々はすでに三千年以上前に通過している」とバッサリ。続く2回戦でも、かつて刃牙を苦しめたマウント斗羽に「1分で終了(おわ)らせる」と宣言し、自信を通り越して傲慢にすら思える言動を連発していた。
烈のすごいところは、苛烈な態度にふさわしい実力があるところだ。最大トーナメントでは準決勝で刃牙に敗れるまですべての相手を秒殺しており、その後のシリーズでもグラップラーとして頭一つ抜けた戦いぶりを見せているのだから文句はいえない。
しかも、刃牙に負けた影響なのか『バキ』以降では相手を見下した態度は鳴りを潜め、体の弱った刃牙に手作り料理を振る舞うなど優しい一面を見せるように。「烈はシリーズ屈指の人気キャラ」と上述したが、その理由は強さだけでなく、丸くなってからの性格がとても良いからだと、筆者は考えている。
キャラの性格が変わり、以前より丸くなるのは悪いことではない。むしろ長期連載だからこそ見られたキャラの一面といえるのではないだろうか。
『刃牙』シリーズでは今回紹介したキャラ以外にも、登場時と比べて性格が変わったキャラが何人もいる。グラップラーにとって成長とは強くなるだけでなく、人間として変わっていくことも含まれているのかもしれない。