■実は全宇宙に機械化を進める女王・プロメシュームの娘…ただしその本性は未だ謎に包まれる
最終話「わが青春の銀河鉄道」にて、メーテルの正体は全宇宙に機械化を進める女王・プロメシュームの娘であり、その一方、父親は機械化の世界撲滅を目指したドクター・バンであることが明かされている。メーテルは母と父の相反する使命のもと、鉄郎と旅を続けていたというわけだ。
しかしこの事実が分かったからと言って、メーテルの謎そのものが解き明かされたわけではない。その原因をややこしくしている理由として、原作の「漫画版」「アニメ版」「劇場版」で描かれているメーテルの違いがあるだろう。
まず漫画版では、メーテルの体の謎について具体的には説明されていない。しかし最終話の鉄郎との別れのシーンでメーテルは裸になり「鉄郎!! さあ、よく見なさい、これが私……カムフラージュランジェリーはつけてないわ…」と、鉄郎にすべてをさらけ出している。しかし鉄郎は目をつぶり見ることを拒否したため、真相がどうだったのかは分からないのだ。
その一方、テレビシリーズでのメーテルは機械帝国が滅亡したあとも、鉄郎に代わる新たな少年とともに旅に出ている。ここから分かることは、メーテルの存在はあくまでも少年の心の幻影ということなのだろう。
最後に劇場版では“私の身体は鉄郎のお母さんの身体”と発言したり“身体が年をとれば、また別の身体を移しかえて、果てしない時間の中を旅してきたの”とも言っている。
劇場版のメーテルは自分の体について最も分かりやすく説明しており、これが本当であればメーテルの存在は人工的に作られた可能性が高いのだ。
最後まで謎多き美女であったメーテル。一般的な人間とは違うことは分かるものの、その本質は機械化人なのか、それとも何かの幻影であるのか、はたまたクローンのように人工的に作られた存在であるのかはやはり謎のままだ。
さらに原作漫画とテレビシリーズ、劇場版のメーテルは細かな違いがあるゆえ、もしかしたらそれぞれのメーテル自体が異なる存在かもしれない。最後までミステリアスな存在のメーテルだからこそ、私たちは惹かれ続けてしまうのだろう。