『ガンダム』シリーズには、「RXー78ー2 ガンダム」に代表されるようなシンプルな人型メカもあれば、なかには目を疑うような尖ったデザインの機体も存在する。
有名なところでいえば、「ファーストガンダム」に登場したモビルアーマーの「ザクレロ」や「ビグ・ザム」のデザインの奇抜さは目を引いた。アナザーガンダム作品なら、劇中でも“ゲテモノ”と呼ばれていた「ガンダムヴァサーゴ」や「ガンダムアシュタロン」などが代表例だろう。
そこで今回は歴代のガンダムシリーズから、個人的にデザインが「尖っている」と感じた機体をピックアップ。そういった機体は奇抜なビジュアルだけでなく、武装面なども変わった設定のものが多いので、そのあたりも合わせて振り返りたい。
■「モンスター」としか言いようがない奇怪な「変形形態」
アニメ『機動戦士ガンダムSEED』に登場した「イージスガンダム」は、可変機構を有するモビルスーツ。そのモビルアーマー形態には、「巡航形態」と「砲撃形態」というふたつの形態が存在する。
そのうちの砲撃形態は、モビルスーツの四肢を四方に広げて「牙のある大きな口」のように見える姿を形づくり、その口にあたる部分からはエネルギー砲「スキュラ」を発射する。このときのフォルムはまさに「異形」そのものであり、不気味な巨大モンスターのようにも見える。
その変形シークエンスはかなり複雑で、よくこのような機体を開発したものだと感心したくなるほど。構造の複雑さゆえに運用、整備時の負担が大きかったというのも納得である。
モビルスーツ形態のときはスタイリッシュなフォルムで、指揮官機としての運用を想定されていた。だがモンスターのようなモビルアーマー形態になり、牙に見立てた4本のアームで敵機に組みつく戦闘スタイルは、指揮官機の用途にマッチしているかといえば疑問が残る。
総じて「変なモビルスーツ」といわざるを得ないイージスガンダムだが、劇中では「キラ・ヤマト」の親友「アスラン・ザラ」が最初に搭乗した機体であり、少々奇抜なデザインも見続ければ徐々にクセになりそうだ。
■生物を模した機体のなかでも最高峰?
ガンダム作品に登場する機体には、人間以外の生物をモチーフに開発されたものも存在する。イカやエイのように見えるモビルアーマー形態が特徴の「ハンブラビ」や、四足歩行の肉食獣のようなフォルムの「バクゥ」などが挙げられる。
そのなかでも、『機動戦士Vガンダム』に登場する巨大モビルアーマー「ドッゴーラ」は、なんとドラゴンを模した機体だった。
ドッゴーラはその奇抜なデザインもさることながら、機体の巨大さも目を引く。全長は約370メートルもあり、単純比較すると東京タワーよりもデカい(ちなみに、RXー78ー2ガンダムは18メートルである)。
その異様な巨体の正体は、ドラゴンの長い尻尾部分にあたる「テールラッド」と呼ばれるコンテナ・ユニットによるもの。敵機に打撃を与えたり、巻きついて拘束したりと、まさに尻尾のように用いられ、この部分をパージすることでダメージコントロールも行える。
不気味で異様なビジュアルだが、頭部がコントロールユニットであることは明白で、主人公「ウッソ・エヴィン」にも見破られてしまう。ドッゴーラはその異様な見た目のわりには、思いのほか退場が早かったのが残念な機体だ。