■あまりに壮絶すぎる…『BLACK LAGOON』ヘンゼルとグレーテル
広江礼威氏による『BLACK LAGOON』(小学館)は架空の都市・ロアナプラを中心とした裏社会を舞台にしたストーリーだ。さまざまな個性的な人物が登場し、闇堕ちキャラも当然存在する。
その中でもかなり壮絶なのが、殺し屋として活躍するヘンゼルとグレーテルという双子だ。このふたりの生い立ちは過酷だった。親に捨てられたため児童養護施設で育っていたのだが、その施設によって悪党に身柄を売り飛ばされ、徹底的に利用されてきた。
彼ら自身が虐待を受けた上に、長いあいだ非人道的な行為をさせられ続けたことで肉体と精神が追い詰められ、彼らはついに壊れてしまう……。快楽殺人鬼となり、多くの人間を殺すようになったのだ。
すべての発端は、当時の政府が無責任に出産を奨励した政策によって「必要とされない子ども」がたくさん生まれたことだ。それによって孤児が増え、大人に都合よく利用される道具のようになってしまう結果となったのである。
自分たちではどうにもできない運命に翻弄されただけに、ヘンゼルとグレーテルだけを責めることもできない。彼らという化け物は、世界そのものの闇が生み出したともいえるからだ。
そうして長らく殺しをまるでゲームのごとく楽しんでいたふたりだが、それまでのツケが回ってきたかのように命運が尽きる……。バラライカの手によってそれぞれ命を落とすことになった。
最後まで救われない人生を送った彼らに同情の声も上がるが、こればかりはどうしようもないと思う。いくらそうするしか道がなかったとしても、二人は落ちるところまで落ち、もはや人間には戻れなくなってしまったのだから。
今回見てきたように、悪役キャラにも思わず同情してしまう過去があった。悪役の背景を知ることで、ストーリーもぐっと厚みが増すのは間違いない。ここで取り上げた以外にも、まだまだ多くのエピソードがありそうだ。