■「自分の顔を忘れた」鉢屋の闇は?
つぎは、五年ろ組の学級委員長である鉢屋三郎。彼は千の顔を持つと言われている変装の名人だが、同じ学年の不破雷蔵と同じ顔に化けていることがほとんどで、素顔をいっさい見せないキャラクターだ。キャラクターにあまり詳しくない人は、2人のそっくりな顔を見て「忍たまにも双子キャラがいたんだな」と思ったかもしれないが、この2人に血縁関係などは一切ない。
鉢屋は入浴時も睡眠時も変装したままで、誰も彼の素顔を知らないのだ。アニメでは「自分の顔を忘れてしまった」と自分で言うシーンもあり、いつも明るい性格であるが、その背景に何があるのか、いまだ多くの謎に包まれている彼もまた、腹に一物を抱えていそうだ。
さて、キャラクター個人に限らないが、6年生の立花仙蔵が委員長を務める作法委員会もちょっと怖い。忍たまたちにはそれぞれ所属している委員会があり、作法委員会では「首実検」という戦争で討ち取った敵の首を本人かどうか確認する戦の作法の練習を、学園で日常的に行っている。
アニメでは首実験はフィギュアを使ってコミカルに描かれるが、きちんと調べるとなかなかにコワイことをしている。
そもそも忍術学園では、生徒は学年が上がるごとに脱落者が出るため人数が減っており、最上級の6年生が最も少ない。6年生にもなると学年の生徒としてだけではなく学校外でも忍者として活躍しているのだが、志をともにした仲間が減ることは珍しくないのかもしれない。
『忍たま』の世界を深く考えれば考えるほど、当時の壮絶な環境に恐ろしさを感じてしまう。