
現在放送中のドラマ『御上先生』(TBS系)で主演を務める松坂桃李さん。今や日本を代表する人気俳優となった彼だが、俳優としてのデビュー作が、2009年放送の特撮ドラマ『侍戦隊シンケンジャー』だったことはご存じだろうか。
戦隊シリーズのなかでも名作と謳われ、いまなお人気の高い本作。松坂さんが演じたシンケンレッド/志葉丈瑠(しばたける)は、鮮烈な存在感でファンの記憶に深く刻まれている。そこで本記事では、松坂さんが見せた名シーンの数々を振り返っていきたい。
※本記事には作品の核心部分の内容を含みます
■志葉家十八代目当主・志葉丈瑠登場!
『侍戦隊シンケンジャー』は、その名の通り、侍をテーマにした異色の戦隊シリーズだ。戦隊メンバーが殿様と家臣の主従関係であるという設定も非常にユニークだった。
本作で松坂さんは、敵である「外道衆」と三百年にわたり戦ってきた志葉家の十八代目当主・シンケンレッド/志葉丈瑠を演じている。
物語の幕開けとなる第1話「伊達姿五侍」。丈瑠はお目付け役の日下部彦馬(演・伊吹吾郎さん)とともに登場。名優・伊吹さんの「外道衆どもよく聞け! こちらに御座すのは三百年の昔より貴様たちを葬ってきた侍の末裔、志葉家十八代目当主であるシンケンレッド、志葉丈瑠様だ!」という迫力満点の台詞に続いて、「参る!」から始まるシンケンレッドの戦闘シーンで視聴者の心をガッチリ掴んだ松坂さん。
さらに、各地で研鑽を積んでいた家臣たちや、ほかのシンケンジャーが丈瑠の元に集結。丈瑠の「この先へ進めば後戻りする道はない 外道衆を倒すか負けて死ぬかだ!」という言葉に覚悟を決めて応える彼らの姿が印象的だった。
そのほかにも、白馬での登場や5人袴での変身シーンがある第1話。見どころ満載のプロローグであった。
■影武者だったという衝撃の展開
シンケンレッドとしてメンバーを率いて戦い続けてきた丈瑠であったが、終盤ではその存在が大きく揺らぐ。
第44話「志葉家十八代目当主」で、なんと真の当主である志葉家の姫・志葉薫が姿を現したのだ。実は、松坂さん演じる丈瑠は真のシンケンレッドではなく、当主・薫を守るための影武者であったと衝撃の事実が明かされる。敵や味方、さらには視聴者をも欺き続けた丈瑠。当時、この展開には本当にビックリさせられた。
そして続く第45話「影武者」では、影武者としての役割を終え、丈瑠は仲間のもとを去っていく。幼馴染で梅盛源太/シンケンゴールドの“丈ちゃんが殿さまじゃなくても関係ない”という励ましにも、丈瑠は「俺は殿様じゃない自分は初めて見た びっくりするほど何もないな」と呟く。“偽りのシンケンレッド”として振る舞っていた丈瑠の喪失感が胸に迫る名場面である。
ちなみに“丈瑠が影武者”という設定は最初から決まっていたらしいが、演者である松坂さんにも中盤まで知らされておらず、ほかのレギュラーキャストに至ってはまさに44話の台本で知らされたそうだ。
作中の敵と味方、さらには演者や視聴者をも巻き込んだ戦隊シリーズ史に残る大どんでん返しであった。