物語が最終章に突入したことで、大物たちの動向も活発化してきた『ONE PIECE(ワンピース)』。ここにきて特に注目を集めているのが、自身に「よく似た謎の人物」まで登場した四皇の一角のシャンクスではないだろうか。
これまで、さまざまな場面で実力の片鱗を見せてきたが、彼が有する「覇王色の覇気」は、ほかと比較しても突出していると感じられる点がいくつもある。もしかすると元ロジャー海賊団の一員であり、謎に包まれた彼の出自も関係があるのかもしれない。
そこで今回は、シャンクスの覇王色の覇気が特別に感じられる理由などについて解説していこう。
■シャンクスがみせた「見聞殺し」とは?
覇王色の覇気を有する者は、作中に複数登場している。シャンクスだけでなく、ルフィやエース、白ひげ、ビッグ・マムやカイドウなど、名だたる実力者が保有していることが判明した。
この覇気を発散することで、彼我の実力差が圧倒的な相手であれば一瞬で気絶させることも可能。また、カイドウとルフィの勝負の中では、覇王色の覇気をまとって攻撃に活かすなど、さまざまな使い方ができることも分かった。
そんな中、現状ではシャンクスだけが行使できると思われているのが「見聞殺し」と呼ばれる力だ。超高精度に鍛え上げられた見聞色の覇気使いは、少し先の未来が見えるまでに至るが、気配をコントロールすることで相手に未来を見せないのが「見聞殺し」だといわれている。
この能力は劇場版『ONE PIECE FILM RED』の入場者特典「40億巻」で明かされた、尾田栄一郎氏のメモに「覇王色」の文字とともに記載されていたものだ。
シャンクスが覇王色を活用して「見聞殺し」を行えるのだとすれば、どのような原理で成立させるのかも気になる。武装色と同じように覇王色もまとえることが判明した今なら、強力なバリアのように展開して、見聞色を封じるとでもいうのだろうか。
そもそも、なぜ見聞色だけが対象なのだろうか。同じ覇気であれば、見聞色と武装色の両方を封じても良いはず。見聞色だけに有効な、なんらかの理由があるのかもしれない。
そこで思い出すのが、シャンクスが黒ひげから受けたという左目の傷だ。今でも疼くという傷跡について、シャンクスは「おれは油断などしていなかった」と語っていた。
言葉通り受け取るなら、黒ひげがシャンクスを上回る見聞色を使ったために傷を負ったとも考えられる。そのうえで来たる黒ひげとの決戦に備えて、彼の見聞色を封じる能力を会得したのかもしれない。
■“海賊王”ロジャーしか使えないはずの大技
かつてシャンクスが見習いをしていたロジャー海賊団の船長が「ゴール・D・ロジャー」。いわずとしれた海賊王である。
そのロジャーの戦闘描写はほとんどないが、たったひとつだけ判明しているのが彼の奥義ともいうべき「神避(かむさり)」という技だ。
覇王色の覇気を自らの武器にまとわせて相手にぶつける技で、作中でも有数の実力者である「光月おでん」を軽々と吹き飛ばしたほどの圧倒的な威力だった。
そして時は移り、ワノ国にてトラファルガー・ローとともに四皇ビッグ・マムを打ち破ったユースタス・キッドが船を進めた先に待ち受けていたシャンクスは、ロジャーと同じ技「神避」を放った。
覇王色を相手にぶつけるというシンプルさから、覇王色の保有者なら誰でも使えそうに思えるが、実はそんなことはない。
尾田栄一郎氏は、シャンクスが「神避」を使えることについて、「ロジャーの背中を見て覚えました。ロジャー海賊団の誰もマネする事すら出来ず、シャンクスの才能に驚いていました」と明かしているためだ。
ロジャー海賊団には、ルフィの師匠でもあるシルバーズ・レイリーも所属しており、彼の当時の力は全盛期だったはずだ。シャンクスと同じ剣使いで、3種類の覇気を高水準で扱えるレイリーですら会得できなかったのだから、「神避」は想像以上に扱いが難しい技なのだろう。
それなのにシャンクスは、ロジャー海賊団にいた若かりし頃から扱えたと受け取れるため、彼の覇気のレベルや才覚はロジャーに匹敵するレベルなのかもしれない。