■25歳で死を迎える「痣者」の運命

 全集中の呼吸を極めた者が一定の条件を満たすことで、身体に「痣」が発生する者がいる。圧倒的な強さを誇る柱だけでなく、主人公の竈門炭治郎にも痣が発現した。

 この痣を発現させた者は、身体能力が飛躍的に向上。通常ではありえない速度で傷が回復するなど、上弦の鬼とも渡り合えるほどの力を手にする。しかしその代償として「痣の者は例外なく…二十五の歳を迎える前に死ぬ」という衝撃の事実を上弦の壱・黒死牟が明かしていた。

 だが、たった一人だけ例外が実在する。それこそが始まりの呼吸の剣士「継国縁壱」である。

 縁壱は、黒死牟が人間だった頃の実弟であり、生まれた時から痣が発現していた「最初の痣者」。しかも極限まで武術を極めた者だけがたどり着ける境地「透き通る世界」をも会得していた傑物だ。

 そして縁壱も痣者だけに、本来25歳を迎える前に死ぬはずだったが、齢80に至るまで生き続けた。しかも、老いてもなお剣技は寸分も衰えず、鬼と化した実兄の黒死牟に、たった二撃で死を確信させたほどである。それほど規格外の人物だからこそ成し得た、究極の“例外”だったのかもしれない。


 『鬼滅の刃』に描かれた年齢にまつわる要素をいくつか振り返ってみた。漫画をしっかり読み込んでいるファンにとっては常識かもしれないが、ライトに楽しんでいる層には少々意外に感じる部分もあったかもしれない。あらためてコミックを読み返した際、各キャラの年齢に着目してみるとまた違った見方もできそうだ。

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