『ONE PIECE』(尾田栄一郎氏)の主人公、モンキー・D・ルフィ。「ルフィはボケとツッコミどっちだと思う?」と聞かれたら、多くの読者は「ボケ」と返すのではないだろうか。豪快な性格や常識とかけ離れた感性で周囲を振り回すルフィは、やはり「ボケ」というイメージが強い。
だが『ONE PIECE』本編を読み返してみると、イメージとは逆にルフィがツッコミに回るシーンも少なくない。普段とのギャップのせいか、あのルフィがまともなツッコミをするだけでやけに面白いギャグシーンになるから不思議だ。
そこで今回は、ルフィがついツッコんでしまった相手と、そのシチュエーションを紹介しよう。
■「バラティエを出た時より泣いてんなァ」女好き全開モードのサンジ
ルフィを支える「麦わらの一味」のメンバーは、キャプテンに負けず劣らずな個性派揃い。たとえば、一味の料理人・サンジはいつもはクールなコックだが、大好きな女性がかかわるとルフィすら引くほどのボケキャラと化す。
印象的だったが、“偉大なる航路(グランドライン)”の海底にある魚人島に辿りついたときだ。過酷な旅を乗り越え、美しい人魚に迎えられる桃源郷に辿り着いたサンジは、感極まって大号泣。人目もはばからず鼻水を垂らし、自分の夢である“オールブルー”はここにあったと叫ぶほどの感激を見せた。
そのあまりにも豪快でみっともない泣き顔を見たルフィ。
「バラティエを出た時より泣いてんなァ」と、真顔でツッコんでいた。サンジの女性にかける執念の前には、ルフィもつい冷静になってしまうようだ。
■初めての仲間ゆえの気安さか…ゾロの方向音痴に厳しい
麦わらの一味のNo.2のロロノア・ゾロ。戦闘では“覇王色の覇気”にも目覚めた実力者だが、極度の方向音痴という欠点を持つ。もっとも付き合いが長いルフィはゾロの迷子っぷりにいつも呆れており、うんざりしたようなリアクションをしばしば見せる。
「空島編」では、黄金が隠された“ドクロの右目”へ向かう最中、ゾロが見当違いの方向に行こうとするところを「まったく お前の方向音痴には ホトホト呆れるなァ」と、ため息をつくルフィが見られる。(とはいえ、そのルフィも道を間違えていたのだが)
また「ワノ国編」では、同じ狛犬に乗っていたはずが、いつの間にかいなくなったゾロをルフィが探す展開がある。「犬に乗っててよく迷子になれるな…」とぼやくルフィの顔は、呆れを通り越して感心すらしているようにも見える。
このように、ルフィはゾロの迷子っぷりに容赦なくツッコむ。ルフィにとってゾロは初めての仲間であり、とくに気心の知れた相手でもある。だからこその態度なのだろう。