井上雄彦氏の『ＳＬＡＭ ＤＵＮＫ』には、数多くの魅力的なキャラクターが登場する。そのなかで、バスケ選手ではないにもかかわらず大きな存在感を放つのが水戸洋平だ。
主人公・桜木花道率いる“桜木軍団”のリーダー格で親友でもある水戸は、桜木を誰よりも理解し見守り続けた。そして、そんな水戸の男気あふれる姿は『ＳＬＡＭ ＤＵＮＫ』ファンの心に強く残っている。
そこで今回は、「水戸洋平」という男の魅力をあらためて振り返っていきたい。
■桜木のことを理解する中学時代からの親友
実は、漫画第１話の１ページ目から、桜木の中学生時代からの連れとして、高宮望・大楠雄二・野間忠一郎とともに桜木軍団の一人として登場している水戸。普段の水戸は、女子にフラれ続ける桜木を周りで茶化して面白がるお調子者だが、ひとたびケンカとなればめっぽう強い。そのギャップがめちゃくちゃカッコイイのだ。
そんな水戸は、桜木がバスケ部キャプテン・赤木剛憲とバスケ勝負をすることになると、軍団と一緒にその様子を体育館に見に来る。素人丸出しの桜木のプレイに盛り上がるヤジ馬たちだったが、桜木が赤木からボールを奪うことに成功すると一変、桜木に一目置きはじめる。このときの、“どうだ これが桜木花道だ”と言わんばかりに誇らしい表情をする水戸が印象的だ。
また、バスケ部に入部したものの、基礎練習に嫌気が差した桜木が体育館を飛び出したときのこと。一緒にファミレスでサボるなか、水戸は桜木の心ここにあらずの状態を分かっているようだった。
その後、軍団は不良グループに絡まれることになるが「洋平 オレちょっと用事思いだした いっていいか…」と恥ずかしそうに言い出した桜木に「準備運動にもならなかったな」と、快くバスケの練習に送り出している。
このように、水戸は物語序盤から桜木のことを誰よりも理解し、バスケにのめり込んでいく彼を温かく見守る存在であった。
■“バスケ部襲撃事件”で見せた男気
水戸といえば、“バスケ部襲撃事件”での活躍も欠かせない。
三井寿率いる不良グループが湘北高校に乗り込んでくると、それを見て怯えた生徒たちが水戸や桜木に「心あたりない？」と尋ねてきた。ここで水戸は「あいつをかかわらすな」と、桜木をトラブルから遠ざけようとする。
さらに、体育館にぞろぞろと向かう三井たちとすれ違う際、「そっちには体育館しかないぜ 何するつもりだ」と凄み、気性の荒い鉄男と一触即発の状態に。その後、三井たちは体育館で大暴れすることになるのだが、９〜１０人ほどいた三井グループのうちの３人を水戸が体育館の外でボコって削ってくれていた。
その後、部員まで巻き込まれる乱闘騒ぎとなり、バスケ部はピンチに。そのときも「正義の味方 参上！」と、軍団全員で体育館に現れ「おい 逃げんなよ主犯 相手がいねーんだわ あんた相手してくれよ」と、水戸は三井とタイマンを張る。
水戸は三井とは違う“生粋の不良”だ。そこでは「もうバスケ部にはかかわらないと言え」と、三井を完膚なきまでに叩きのめすのだった。
騒ぎを聞きつけ先生たちが体育館に駆けつけてくると「やっちまいました バスケ部も三井君も スイマセン…」と、軍団とともに水戸はすべての罪を被る。この事件の首謀者でもっとも罪が重いのは三井であるが、バスケ部に戻りたいという彼の気持ちも汲み、自ら悪者になっているのが心憎い。
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