■『キン肉マン』体育館のマットでタイミングを合わせるのが難しかった「クロス・ボンバー」
1979年から連載されたのが、ゆでたまご(原作:嶋田隆司さん、作画:中井義則さん)による『キン肉マン』だ。本作は基本的にプロレス技の応酬になるので、必殺技を真似するには対戦相手が必要である。
技によっては体育館のマットの上でも危険なものもあり、有名な「パロ・スペシャル」や「キン肉バスター」などは学校側から禁止命令が出るほどだった。そこで対戦相手をマットに仕立てて友人と真似したのが「クロス・ボンバー」だ。
これはヘル・ミッショネルズの必殺技で、ネプチューンマンとビッグ・ザ・武道がお互いにラリアットを仕掛けることで、攻撃を受けた覆面超人のマスクが見事に剥がれるというもの。
体育館で丸めたマットを立てておき、友人と呼吸を合わせてラリアットのタイミングを合わせて練習した。いま考えると、後方から(武道側)のラリアットは最初から添えるだけで、前方から(ネプチューンマン側)勢いを付けて当てるだけで良い。だが、当時は2人同時にどうにかラリアットを当てようと苦戦していた。
当時はプロレスブームの真っ只中。ネプチューンマンがモデルとなっているハルク・ホーガンさんのアックスボンバーには何度も痺れさせてもらったな。
■『ジョジョの奇妙な冒険』コップに入った水をこぼさないようにした「波紋疾走」
1986年から連載開始された、荒木飛呂彦さんの『ジョジョの奇妙な冒険』。本作ではとにかく「波紋法」に憧れた。主人公のジョナサン・ジョースターが繰り出す「波紋疾走(オーバードライブ)」は、なんといっても掛け声がいい。
“ジョジョ立ち”と呼ばれるポージングが話題となりやすい本作だが、セリフも非常に印象深い。宿敵・ディオ(DIO)の「無駄無駄無駄」や「貧弱ゥ!」は有名だが、筆者たちの間ではジョナサンの「ふるえるぞハート! 燃えつきるほどヒート!」が最高に流行った。
「波紋法」の特訓(!?)としては、コップに並々と水を入れ、それがこぼれないようにパンチを放つ練習をした。これは、ジョナサンの師匠のウィル・A・ツェペリがワインをこぼさぬようにゾンビを倒せとジョナサンに指示したことから取り入れたものだ。
上記の掛け声を叫びながらジョナサンになり切っていたのだが、ただ、悪役ながらも魅力的なディオの真似をするのも流行った。そうして『ジョジョ』ワールドがクラスに蔓延していた覚えがある。
ここぞという時に繰り出されるバトル漫画の必殺技。見ている側からすると、胸が躍り、必然的に真似したくなるものだ。今回紹介した80年代『ジャンプ』の必殺技は掛け声もカッコ良く、技とセットで真似してキャラになりきり遊んだものである。
思い返すと憧れた技はまだまだほかにもたくさんある。機会があれば、また紹介していこう。