■科学者の復讐心が生んだ最悪の未来、ドクター・ゲロ

 最後に紹介するのはドクター・ゲロだ。「人造人間・セル編」にてゲロはレッドリボン軍の科学者として登場し、その頭脳と執念で物語に深い爪痕を残したキャラだ。

 ゲロは、マッスルタワーの人造人間8号(ハッチャン)などレッドリボン軍の武器を開発した。レッドリボン軍が壊滅したあともその原因となった悟空を恨み、復讐のため人造人間の研究を続け、17号と18号を生み出し世界を崩壊させる。つまり、ドクター・ゲロという一人の科学者の深い復讐心が、未来の世界を崩壊させたということだ。

 一方、トランクスがタイムマシンで来たことにより変化が生じた現世界では、自らも人造20号となって19号とともに都市を襲撃。ヤムチャの胴体に風穴を開ける。

 その後、Z戦士たちの追跡を受け、苦肉の策で17号と18号を復活させたゲロ。だが、あっけなく17号たちに裏切られ、頭を蹴り落とされてしまう。そして「おのれ… ガ…ガラクタどもが…」と最期の言葉を残し、皮肉にも自信が生み出した人造人間によって、頭を踏みつぶされ絶命してしまうのであった。

 ちなみに、映画『ドラゴンボール超 スーパーヒーロー』では、彼の孫であるドクター・ヘドも登場する。ヘドはレッド総帥の息子マゼンタにそそのかされ、人造人間ガンマ1号&ガンマ2号、さらにはセルマックスを生み出してしまい大混乱を引き起こす。

 しかし、彼は根っからの悪党ではなく、事件解決後にはカプセルコーポレーションに雇われることになる。ヘドは、祖父・ゲロとは違い、復讐に囚われない人生を歩むこととなった。

 

 今回は『ドラゴンボール』に登場する戦闘力10以下ほどしかない悪人たちを紹介してきた。彼らは戦闘能力こそ低いものの、その悪行で物語に重大な影響を与えた。

 宇宙人や魔族、さらには神々など圧倒的な力を持つキャラが次々と登場する最高峰のバトル漫画においても「人間の悪意」は変わらず恐ろしいということだろう。

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