『ドラゴンボール』といえば宇宙や神々をも巻き込む壮絶な戦闘が魅力の作品だが、その一方で、戦闘力10以下ほどしかない“人間”たちが冷酷非道な行いで物語を揺るがす場面もしばしば見られる。
彼らの残虐な行為や身勝手な野望は、ときに強キャラ以上の衝撃を読者に与えた。そこで今回は『ドラゴンボール』に登場しためちゃくちゃ悪い地球人たちを紹介する。彼らの恐るべき悪行と、それが物語をどのように動かしたのかを振り返ってみたい。
■無差別殺人が招いた最悪の事態…“ライフル銃の男”と“召使い”
魔人ブウが復活し、次々と人間をお菓子や食べ物に変えるという未曽有の事態が発生し、地球滅亡の危機が訪れた「魔人ブウ編」。本編で登場した最悪の人間キャラが、通称“ライフル銃の男”と“召使い”だ。彼らは本作としては異例の残虐さを持った人間であり、読者に強烈な嫌悪感を抱かせた。
「まえから人間を撃ってみたかったんだ!サイコーだぜ!!」と言って老夫婦を射殺し、その後も場所を町に移し「38匹…!! 39匹…!!」と、無差別に銃を乱射。
調子に乗った男たちはその勢いで、魔人ブウに対しても襲撃を仕掛けてしまう。この時、魔人ブウはミスター・サタンとの出会いによって「じゃあ(人間を殺すことを)やめた」と心変わりしたばかりだった。ゆえに、彼らのしでかした行動はより罪が大きかったと言える。
まずブウがかわいがっていた犬が、さらにはサタンも撃たれてしまう。バズーカにマシンガンと彼らの攻撃自体にはまったく意に介していなかったブウだったが、犬とサタンに攻撃が及んだことに怒り、邪悪な部分を膨れ上がらせる。そしてついに魔人ブウは“無邪気なブウ”と“純粋悪の魔人ブウ”に分離してしまい、さらなる悲劇を引き起こすこととなった。
ちなみに、ライフル銃の男はこの直後、誕生した純粋悪の魔人ブウによって真っ先に吹き飛ばされており、一方の召使いの男に至っては、ブウに体のなかに入られ内側から爆散……と、さらに悲惨な死に方をしていた。
彼らがやった残虐行為の数々を考えると、まったく同情の余地はないのだが……。
■世界を巻き込んだ「身長コンプレックス」レッド総帥
次に紹介するのは、「レッドリボン軍編」に登場するレッド総帥だ。悟空が幼少期にドラゴンボールを巡って激突した“世界最凶の軍隊”のレッドリボン軍、そのトップに立つ人物である。
作中、レッド総帥は部下であるホワイト将軍やブルー将軍を使い残虐非道を尽くし、さらには世界一の殺し屋・桃白白に悟空の暗殺を依頼するなど、軍や金に糸目を付けず必死でドラゴンボールを集めていた。
その願いはやはり「世界征服」かと思われたが、実はレッド総帥の真の目的は「自身の身長を伸ばす」という驚くほど個人的な願望であった。レッド総帥の身勝手な願いにより、どれほどの人間が苦しめられたのだろうと思うと、あまりにもひどい。
最終的にレッド総帥は、部下のブラックに「きさまに総帥の資格はない…」と見限られ、射殺される末路を辿る。
ちなみに、映画『ドラゴンボール超 スーパーヒーロー』では、彼の息子・マゼンタが登場する。彼もまた父譲りの悪党であり、体格も似ていた。