『呪術廻戦』未回収の伏線…天元は結局敵か味方か、そもそも何者だったのか?の画像
アニメ『呪術廻戦』「死滅回游」スーパーティザービジュアル ©芥見下々/集英社・呪術廻戦製作委員会

 アニメ続編「死滅回游」の制作が決定しており、連載終了後もいまだ話題となっている芥見下々氏の漫画『呪術廻戦』。2024年9月30日に完結を迎えた本作だが、約6年半の連載を見届けた読者にとってまだまだ物足りないと感じる部分は多いのではないだろうか?

 やはり一番大きいのは、未回収の伏線の存在だろう。その中でも、呪術界における超重要人物・天元の存在については重要でありながら不明な部分が多く、気になっている読者も多いはずだ。

 そこで今回は、天元は結局敵か味方か、そもそも何者であったのかなど考察できる部分を掘り下げていこう。

※本記事は『呪術廻戦』未アニメ化部分のネタバレを含みます。気になる方はご注意ください。

■「どちらかと言えばババアだよ」→元は女性の術師だった?

 日本中の主要箇所に結界を張り巡らせ、現代呪術界の根幹を成しているとされる天元は、名前こそ何度も出ていたものの本人はなかなか出張ってこなかった。そんな天元が初めて姿を現したのは、単行本第17巻第144話でのことだ。

 円柱状の頭に2対4つの眼、髪や耳は見られないなどもはや人間を超越した外見をしており、男性なのか女性なのかすら定かではない。

 ただ、性別に関しては当人の口からある程度言及されており、第23巻第202話にて九十九より「クソジジィ」呼ばわりされた際に「最早 私に性別はないが どちらかと言えばババアだよ」と答えている。

 不死の術式を有する天元は、500年に一度‟星漿体”と呼ばれる特異体質の人間と同化することで老い(進化)を防いでいるが、作中では「懐玉・玉折」にて登場し同化しなかった天内を含め2人の星漿体らしき人物の後ろ姿が描かれているため、合計1500年以上生きている可能性がある。

 こうなると、羂索や宿儺など1000年前の平安の世から生きている術師よりも遥か昔から生きている計算になるが、どうやら大昔は女性として生まれたようだ。

 さらに、単行本23巻のおまけページでは、天元のかつての姿も描かれていた。髪は長く和服らしい服装で、女性らしい顔だちをしているのがはっきりとわかる。つまり、元は間違いなく女性の術師だったのだ。

 星漿体との同化によって進化を防いでいるなら、天内と同化できず今の状態になるまでは人間時代の姿を保っていた可能性もある。同じく元星漿体の九十九が「クソジジィ」呼ばわりしたことから、声は男性のものに変化していたのだろうか……?

■「君達に重要な隠し事をしている。死滅回游の――」何だ!?

 天元を謎の存在たらしめている大きな要素のひとつとして、偽夏油こと羂索の台詞「天元(アレ)を信頼した君が悪い 天元は君達に重要な隠し事をしている」が挙げられる。これに続けて「死滅回游の――」と発したところで遮られているのもまた意味深だ。

 死滅回游といえば、羂索が日本中で仕掛けた呪術師や受肉した過去の術師達との殺し合いをおこなわせるため、各地に展開した結界を戦場としている。そんな死滅回游に関して、天元が何かしらかかわっているのではないか、と仕掛けた当人である羂索が話そうとしたわけだ。

 九十九たちは、羂索の“天元を掌握して人類と同化させる”という目論見を阻止するために戦闘をおこなっており、天元自身も結界術を駆使して味方していたはずなのだが、隠し事などされていては完全に味方とは言い切れない部分が出てくる。

 ここで考えられるのが「浄界」だ。これは呪霊抑制と呪術師の補助監督が張る結界の底上げのため、天元が日本各地に張った通常の結界よりも優れた結界を指すもの。死滅回游は、この浄界をベースにして作ったのだという。

 羂索はこれに続けて、渋谷事変後に天元が浄界を解放すれば、死滅回游は成り立たなくなりこれまでの計画も破算になったと話している。しかし、仮に実行すれば、先述した呪霊抑制や結界の効果まで消えるため、結果として多くの人々が死にかねない。

 こうした事実を、はるか昔からの知己らしき羂索こそ知っていたものの、天元は虎杖ら主人公サイドには伝えていなかったと考えられる。虎杖らがそのまま勝てば、浄界を破壊せずとも多くの人が死なずに済むからだろう。

 確かに重要な情報ではあるが、天元の胸の内がこの予測通りだったなら、敵とは言い切れない。虎杖らを信じていたからなのか、それとも進化して呪霊に近い存在になっていたからなのか、それは定かではないが。

  1. 1
  2. 2