
鳥山明さんによる『ドラゴンボール』(集英社)には読者を魅了する要素がたくさんあり、目標となる敵キャラを倒すためおこなう修行もそのひとつだ。
自分の弱点を克服し新たな技を身につける姿に、その後敵キャラとどんなバトルが展開されるのかワクワクさせられる。
しかし、そんな風に修行をしている余裕のない場合もある。敵キャラは相手の都合を待ってくれるほど優しくはないからだ。そういう時に登場するのが、修行をすっとばして瞬時にパワーアップする方法である。
そこで今回は、修行の意味を忘れてしまいそうになる「驚きのパワーアップ手段」を振り返っていきたい。
■適応できないとあっさり死亡…!超神水
まず紹介したいのが「超神水」だ。これはカリン塔でカリン様が出した謎の水で、悟空がピッコロ大魔王と戦う前に飲んでいる。
どのような水なのかというと、飲むことでパワーアップするという便利なアイテムだ。しかし、この水に適応できない者は死んでしまうリスクがあり、過去に14人挑戦したが全員亡くなってしまったらしい。
カリン様も挑戦をしたが、すぐに吐き出して断念してしまったようだ。ヤジロベーは試しにほんの少し舐めてみただけでも悶絶していた……。
しかし悟空は、それだけのリスクがあることを承知で超神水を一気に飲み干し、死の淵をさまよった後に飛び抜けた強さを手に入れることができた。
かかった時間としては、超神水を飲んでから夜明けまでの6時間近く。その間に若返ったピッコロ大魔王を倒せる力を手に入れられたのだから驚きだ。
これまでの悟空は、ピッコロ大魔王の配下を倒すことで精一杯で、年老いたピッコロ大魔王にも全く歯が立たなかった。その実力差は大きく、若返ったピッコロ大魔王には到底勝てなかっただろうことは明らか。当時悟空と互角だった天津飯が新たに生み出された配下のドラムに苦戦しているあたりからも、相手の強大さがひしひしと伝わってくる。
しかし、超神水の試練を乗り越えた悟空はドラムを瞬殺し、ピッコロ大魔王を上回る力を見せていた。あの時、ピッコロ大魔王をすぐに止めなければ、確実に世界がメチャクチャになっていたはず。だからこそ、数年もかけて修行している時間が無かったのだろう。
■リスクも手間もなし!最長老の潜在能力を引き出す能力
瞬時におこなえるパワーアップは、何もアイテムによるものだけではない。能力によってそれが可能になったシーンもあった。それがナメック星の「最長老」が作中で見せたこれまでにない能力だ。
ナメック星で悟空の到着を待っていたクリリンと悟飯は、周りの敵キャラとの戦力差から逃げ回ることしかできなかった。そんな中、出会ったデンデによって、クリリンは最長老のもとへと導かれ、自身の潜在能力を引き出されることになる。
最長老はクリリンの頭に手を当て、彼の中に眠る内なる力を呼び起こす……。それは一瞬で終わり、最長老にもクリリンにもリスクはなかった。きっかけを与えただけだからというが、それにしてもすごい……。
この能力によってクリリンと悟飯は、これまでの戦闘力とは比べ物にならない強さを手に入れる結果となる。これまでナッパにすら勝つことのできなかったクリリンたちが、ギニュー特戦隊のグルドと戦えるところまでにレベルアップしたのだ。
ジースが「あのチビたち戦闘力が10000を超えやがったぜ」と話しているところからも、ナメック星到着時の戦闘力1500から7倍近くにまで跳ね上がっている。
そこから考えると、あの時ベジータも最長老に潜在能力を引き出してもらっていたら、ギニュー特戦隊には勝てたのではないか? と思ってしまう。まあ、ナメック星人をたくさん殺しているベジータに手を貸すとは思えないが……。
いずれにしても、瞬時に味方を強くすることができるのは、かなり驚異的な能力といえる。