破天荒な世界観で「ガンダムの常識」を排除…超異色作『機動武闘伝Gガンダム』が“アツすぎる名作”である理由の画像
DVD版「機動武闘伝Gガンダム 12<最終巻>」(バンダイナムコフィルムワークス) (C)創通・サンライズ

 1994年から95年にかけて放送された『機動武闘伝Gガンダム』は、今年2024年で放送30周年を迎えた。それを記念して『Gガンダム』関連のガンプラも数多く発売され、公式サイトではテキストでの外伝作品が発表されている。

 そもそも『Gガンダム』は、長きにわたるガンダム作品の歴史においてかなり特異な存在で、作品の世界観を一変させたことでも知られている。

 前番組にあたる『機動戦士Vガンダム』までは「宇宙世紀(Universal Century)」という共通の時間軸で描かれていたが、『Gガンダム』の時代設定は「未来世紀(Future Century)」と、まったくの別物となっている。

 放映当時、小学生だった筆者にとって、初めて観たガンダムは『Vガンダム』だったが、正直なところ話が難しくてついていけなかった。その点『Gガンダム』は子どもにもストーリーが分かりやすく、必殺技を叫ぶガンダムにアツくなり、ハマっていった。

 これまでのガンダムの常識をことごとく破壊していった『Gガンダム』の魅力でもある、トンデモポイントをあらためて振り返ってみたい。

■かけ声ひとつでどこにでも現れるガンダム!

 主人公「ドモン・カッシュ」の前半の乗機である「シャイニングガンダム」は、ドモンが指パッチンとともに叫ぶ「ガンダム!」のかけ声でどこにでも現れる。

 基本的に機体は「ブッドキャリアー」と呼ばれる蓮の花を模した輸送カプセルに収められており、第1話ではドモンのガンダムを呼ぶ声とともに現れて、初お披露目となった。

 それ以降は、ドモンの旅の先々にシャイニングガンダムは隠されており、指パッチンで姿を現す。崩壊した自由の女神像のなかや、湖から現れるだけでなく、ときには単体で空を飛翔してドモンの元へ駆けつけていた。

 これまでの宇宙世紀のガンダムと雰囲気がまったく異なる『Gガンダム』では、細かいことを気にしてはいけないのだ。

 それにしても、いったい誰がどのタイミングで機体を隠しているのかは謎である。

 ちなみにドモンの所属する国家「ネオ・ジャパン」には「レイン・ミカムラ」という女性スタッフがいて、彼女がシャイニングガンダムのメンテナンス全般を任されていた。劇中には描かれていない部分で、レインの「陰の努力」があったのかもしれない。

■登場キャラの身体能力はシリーズ最強!?

 Gガンダムでは世界中の格闘家が「ガンダムファイター」として国を代表し、ガンダムに乗り込む。主人公ドモンもネオ・ジャパンの代表としてガンダムに乗り込むが、彼に格闘術を教えた師匠が、「東方不敗」の二つ名を持つ「マスター・アジア」だ。本名は「シュウジ・クロス」という。

 彼は「流派東方不敗」という拳法を編み出し、それをドモンにも教えた。東方不敗の実力は劇中でも屈指のもので、鍛え上げた生身の肉体でモビルスーツを破壊するというトンデモシーンまで存在する。

 そして『Gガンダム』のすごいところは登場人物の強さだけではない。東方不敗の愛馬である「風雲再起」は、普通の馬ながら「モビルホース」と呼ばれる馬型のサポートメカを操縦してみせたのである。

 Gガンダムの操縦システムは「モビルトレースシステム」と呼ばれ、パイロットの体の動きをそのまま機体がトレースするので複雑な操縦は不要。だからといって馬のパイロットは、今後も現れないのではないだろうか。

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