
研ぎ澄まされた演技力やストイックな役作りでドラマ、映画のキャラクターを演じる俳優たち。役になりきるその佇まいにも感嘆してしまうが、日常生活で身につけた“特技”ですら演技に取り入れ、観る者をあっと驚かせるシーンも多く存在する。
なかでもブレイク直前の有名俳優たちが特技を活かした演技を披露する場面は、彼らを良く知るファンにとっても非常にレアなシーンばかりかもしれない。
そこで、誰しもが知る有名俳優たちが“特技”を披露した、貴重なシーンの数々を見ていこう。
■研ぎ澄まされたフォームや肉体美が魅せる説得力…『奈緒子』綾野剛
1994年から『週刊ビッグコミックスピリッツ』(小学館)で連載された『奈緒子』。本作は原作担当の坂田信弘さんと作画担当の中原裕さんのタッグが贈る本格駅伝漫画で、事故により父を失った主人公・壱岐雄介が、その天才的なポテンシャルを活かし、父の夢である“日本一のマラソンランナー”に向けて成長していく物語となっている。
2008年に実写映画が公開された際には、主役の天才ランナー・壱岐雄介役に三浦春馬さん、雄介を支え、ともに歩んでいくヒロイン・篠宮奈緒子役に上野樹里さんが抜擢され、豪華なキャストも話題になった。
駅伝をテーマとしていることから当然、作中では三浦さんをはじめ多くの俳優たちの“走るシーン”があるのだが、なかでも特技を活かしたランナー姿を見せつけたのが、のちに大ブレイクする綾野剛さんだ。
綾野さんは本作において雄介のライバルであるエリートランナー・黒田を演じており、作中では雄介との手に汗握る接戦を繰り広げることとなる。
そんな綾野さん、実は中高生時代は「陸上部」だったという。800m走ではなんと県大会で優勝するほどの実力を持っており、その経験を活かしたランニングフォームを披露。フォームの美しさもさることながら、元陸上部員として鍛え上げられた肉体のバランスも見事で、エリートランナー役に凄まじい説得力をもたらしていた。
本作ではセリフこそ少ない綾野さんだが、彼が作中で見せたランナーとしての洗練された姿は、多くのファンの心に焼き付いたことだろう。
■生身から繰り出される空手技の数々…『烈車戦隊トッキュウジャー』横浜流星
“若手俳優の登竜門”と言われ、多くの名俳優を生み出し続けている特撮作品。なかでも2014年より放送された『烈車戦隊トッキュウジャー』で意外な特技を披露したのが、“トッキュウ4号”ことヒカリ役の横浜流星さんだ。
『スーパー戦隊』シリーズの38作目にあたる本作では、列車や鉄道のモチーフが多数盛り込まれており、変身者同士がスーツを交換できる“乗り換え変身”など、これまでの戦隊シリーズとは一風変わった新たな要素が盛りだくさんとなっている。
本作のヒーローの一人として登場した横浜さん。数々のドラマや映画で活躍する注目の若手俳優であるが、実は彼、過去に空手の世界チャンピオンに輝いた経歴を持つ生粋の格闘家であることをご存じだろうか。
横浜さんがこの空手を活かしたアクションをおこなったのが、第33駅「カラテ大一番」でのこと。横浜さん演じるヒカリがライト(トッキュウ1号・志尊淳さん)とともに大量の敵と格闘戦を繰り広げるシーンがあるのだが、ここで2人は変身せず“生身”の状態で激しいシーンを演じている。
群がる敵を相手に繰り出される横浜さんの格闘技は圧巻の一言。的確なフォームから繰り出される打撃は“キレ”が凄まじく、蹴りの打点の高さも実に鮮やかである。研ぎ澄まされ練り上げられた技を駆使した大立ち回りは、まさに必見の出来栄えであった。