■エンディングの不思議なカット

 映画『ドラえもん』第15作『のび太と夢幻三剣士』(1994年公開)は、当時人気だったRPGを意識したようなファンタジー冒険物のストーリーになっている。

 同作では、夢カセットを入れることで夢の世界で活躍できる「気ままに夢見る機」という道具が登場する。しかし、その夢カセット「夢幻三剣士」が曲者で、「現実世界に影響することがある」という説明書きからして非常に怖い。

 のび太は、伝説の英雄・ノビタニアンとして夢世界のユミルメ国を支配する妖霊大帝・オドロームと戦うことになる。ただ、このオドロームは、相手をチリにして消してしまうという恐ろしい術を使うのだ。

 その術により、なんとのび太としずかちゃんは消されてしまうのである。竜の汗が染み込んだお湯を浴びることで2人とも生き返ることができたが、基本的に人が死なない『ドラえもん』の世界で、一度は死を迎えているのだ。

 そして何より不気味に感じたのが同作のエンディング。なぜかのび太の通う学校が山の上に建っており、何の説明もないままエンディングテーマとともにエンドロールが流れるのだ。

「どういうこと?」と疑問符が浮かぶが、これはおそらく作中で語られた「気ままに夢見る機」の注意点「現実世界に影響を及ぼすおそれがある」によるものと思われる。ハッピーエンドと思いきや、最後の最後に不穏な空気が残る同作のエンディングが、なんとも魅力にあふれている。

 3作品から、不気味なシーンやちょっと怖かったシーンを紹介させてもらった。子ども向けの作品でありながら、こういった怖さを感じるシーンが散りばめられた映画『ドラえもん』。それだけでなく、環境破壊といった社会問題をテーマにする作品もあり、「大事なことはすべてドラえもんから学んだ」といっても言い過ぎではないだろう。

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