のび太としずかの死亡シーンも…映画『ドラえもん』初期作品で子ども心にゾッとした「不気味&恐怖」シーンの画像
てんとう虫コミックス・大長編ドラえもん『のび太の魔界大冒険』(小学館)

 1980年公開の映画第1作『ドラえもん のび太の恐竜』から2025年で45周年を迎える映画『ドラえもん』。シリーズの45周年と最新作『映画ドラえもん のび太の絵世界物語』の公開を記念し、2025年1月17日から3週間にわたってファン投票で選ばれた『のび太と雲の王国』『新・のび太と鉄人兵団』など歴代映画6作品が劇場公開される。

 テレビシリーズとはまた違った世界観で、多くの子どもたちに愛される映画『ドラえもん』。その感動的なストーリーの一方で、映画版では不気味なシーンや怖いシーンもたびたび描かれている。忘れられない思い出として、子ども時代に見たそれらのシーンを覚えているというファンも多いのではないだろうか。今回は、映画『ドラえもん』初期作品から、当時の子どもたちが手に汗握って見たであろう恐怖シーンを振り返っていきたい。

■もしもボックスから生まれた魔法世界の怖さ

 まずは1984年公開の第5作『のび太の魔界大冒険』より。同作は、「魔法の世界」を夢見たのび太の願望を、もしもボックスを使ってドラえもんが叶えるというところが導入部分となる。

 もしもボックスは、「もしもこんな世界があったら」と言いながら電話することで、現実世界に「もしも」の願いが反映されるというひみつ道具。だが、出来上がった魔法の世界は、のび太の憧れていたものとは少し違っていた。

 魔法は小学校の授業で習い、そのうえ練習しないと使えず、魔法のじゅうたんに乗るにも免許が必要だったりする。それだけではなく、地球に悪魔の住む魔界星が徐々に近づいており、地球に侵略をしてくるというのだ。

 この魔界星で出てくる人魚の歌声は不気味だし、ラスボスの大魔王デマオンの強さにも絶望させられるが、なにより怖かったのが、デマオンの部下の「メジューサ」。相手を石に変える魔法を使う悪魔で、ギリシャ神話に出てくるメデューサをモデルにしている。

 途中で、ドラえもんたちはタイムマシンでもしもボックスを使う前に戻り、この魔法世界を元の世界に戻そうとするが、メジューサはタイムマシンを追いかけてきてドラえもんたちを石にしてしまうのである。見た目も声も不気味で気持ち悪く、このチートな能力に恐怖を覚えた子どもは多かったに違いない。

 最終的にはなんとか一件落着となるが……実はこの魔界大冒険をともに冒険したしずかちゃんやジャイアン、スネ夫は魔法世界の住人であり、現実世界の3人はこの冒険のことを何も知らないのである。筆者としては、それが妙に怖かったものだ。

■ドラえもんが故障して絶望

 続いては、当時問題になりつつあった環境問題を描いた映画第13作『のび太と雲の王国』(1992年公開)。原作の短編に登場したドンジャラ村のホイくんや、キー坊などが登場してくる、漫画『ドラえもん』ファンにもたまらない作品だ。

 同作で描かれるのは、のび太が雲かためガスを使って雲の上に自分たちの王国を作るというストーリー。ただ、実は雲の上には天上人が住んでいて、天上人の世界に入り込んでしまうことになる。

 天上人は環境破壊を続ける人類を懲らしめるため、「ノア計画」と称して地上文明をすべて洗い流そうという計画を立てていた。

 実際に東京の街が大洪水になっている様子が描かれるが、何より怖く子どもたちを震え上がらせたのが、天上界から逃げようとした場面だろう。見張りの雷雲に襲われて、ドラえもんが故障してしまうのだ。

 これまでの映画『ドラえもん』ではドラえもんの道具が頼りになっており、ドラえもんなしではどうにもならなかった。そのドラえもん自体が故障するという展開は初めてであり、当時は「どうするんだろう?」とドキドキしたものである。

 故障はふとした拍子に直り、なんとか危機を逃れることはできるが、クライマックスシーンでも2度目の故障を起こしている。結果として、ドラえもんなしでのび太やしずかちゃんが活躍し、彼らの成長を感じることができる。怖いシーンは多いが、映画ならではのキャラの表情が見られる感動的な作品だ。

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