『SLAM DUNK』といえば、流川楓や三井寿といった女性ファンに支持されるキャラクターが多いが、男性ファンの心を熱くするカッコ良すぎる男たちの存在も忘れてはならない。
今回は『SLAM DUNK』に登場する“男が惚れるイイ男”に注目し、作中で見せたリーダーシップやバスケへの情熱、そして成長の物語を通じて、彼らがどれだけ“アツい”存在だったのかを男目線で紹介していきたい。
■醸し出す器の大きさ、神奈川の帝王「牧紳一」
海南大附属・牧紳一は、ここで語る必要がないくらい作中トップクラスの実力者である。しかし、連載当時『週刊少年ジャンプ』(集英社)に掲載された『SD(スラムダンク)5周年記念人気キャラクター投票』では、その老け顔が影響したのだろうか。湘北高校の選手・生徒を除くと翔陽の藤真健司(4位)、陵南の仙道彰(7位)に劣る9位となっていた。
牧の魅力はバスケの実力はもちろんだが、醸し出す“帝王”としての雰囲気だろう。牧は1年のときから、神奈川の王者・海南で“怪物”と呼ばれ、活躍してきた。同学年には同じポジションの藤真、さらに1学年下の仙道が突き上げてくるなか、彼は揺るがず“帝王”であり続けたのだ。
そこにはバスケの才能だけではない努力や精神的な強さがあったに違いない。比較として出すのは申し訳ないが、三井にはこの強さはなかったとも言える。
また牧は、“リーダー”としても非常に魅力的だ。インターハイ神奈川県予選の湘北戦、初の試合出場となる宮益義範に対してかけた「宮!! お前の三年間をぶつけてやれ!!」という言葉には、3年間厳しい練習を乗り越えてきた宮益の努力を讃える温かさと信頼があった。
さらに、インターハイ神奈川県予選が終わり、本戦までの間の出来事。街で偶然会った桜木花道に「お前も見とくか? 全国ってやつを」と言って誘い、清田信長も引き連れ一緒に名古屋に向かう姿からは、兄貴分としての面倒見の良さが感じられる。
桜木と清田という問題児2人が牧に従順について行っている姿も面白く、試合外で地味かもしれないが、個人的に大好きなシーンだ。
■不器用だからこそ熱い! 陵南の魂「魚住純」
「ビッグ・ジュン」の異名を持つ、陵南高校バスケ部主将・魚住純。魚住は敵チーム選手としては出番回数もそこそこ多いが、そのビジュアルのせいだろうか。同人気ランキングでは圏外と散々な結果となっていた。
魚住の魅力は、そのビジュアルからもなんとなく伝わってくるように“不器用さ”にあると思う。
魚住は決して才能のある選手ではなかった。陵南バスケ部に入った頃は、練習についていけず、ほかの部員には陰口を叩かれ、何度もバスケを辞めようと思うほどだった。しかし、田岡監督から“デカさ”という才能を見出され、魚住は努力し続けた。
その努力の甲斐あって、魚住は神奈川で名が知られていく。しかし、ある試合で湘北・赤木剛憲に完全に抑え込まれ、評価が一転してしまう。しかし、そこでも彼は諦めず、赤木に負けじと努力を続け、陵南の主将を務めるまでになった男なのだ。
魚住の不器用さは試合でも感じられる。赤木とは最後の対戦となるインターハイ神奈川県予選・陵南VS湘北、魚住は調子を落とす赤木に「今日のお前は今までで最低だ赤木!! こんな出来のお前を倒しても何の自慢にもならん 勝って当然だからな!!」と、ある意味鼓舞するような挑発をしている。
ライバルであり友である赤木との最後の試合は、互いに全力でぶつかり合いたかったのだろう。結果的には陵南は敗れてしまうが、試合後、互いの健闘を称え合い抱き合う魚住と赤木の姿は本当にカッコよかった。
さらに、インターハイ山王戦という赤木の大一番にて、魚住が板前の姿で登場したことも忘れられない。倒れる赤木に対して「お前は鰈だ 泥にまみれろよ」と独特のワードで赤木を励ます姿も、不器用でいい奴すぎた。