エニックス(現:スクウェア・エニックス)より発売された名作RPG『ドラゴンクエスト』シリーズには、たくさんの“裏ボス”が登場する。なかでも印象深かったのが、『ドラゴンクエストIV 導かれし者たち』で初登場した「エスターク」だろう。彼はその後もたびたびシリーズ作品に姿を現し、圧倒的な能力でプレイヤーたちを苦しめた。
このように、その凄まじい能力でラスボスを超える壁として立ちはだかる強敵たちは、他のさまざまなRPG作品にも登場している。今回は、プレイヤーたちの挑戦心に火をつけた、“裏ボス”たちについて見ていこう。
■桁違いのHPに愕然…『ファイナルファンタジーXII』ヤズマット
『ドラクエ』シリーズに並ぶ大人気RPG作品といえば、スクウェア(現:スクウェア・エニックス)から発売された『ファイナルファンタジー』シリーズだろう。
本シリーズにも数多くの裏ボスが登場しているが、なかでも2006年にPS2用ソフトとして発売された『ファイナルファンタジーXII』には、これまでの強敵をはるかに凌駕する裏ボスが登場した。
それが、天地創造の神によって創られた竜「ヤズマット」だ。竜独特の四足歩行の巨体を持つヤズマットは、白銀の肉体のところどころに魔法陣のような光が浮かぶ荘厳な見た目をしている。
高い破壊力と凄まじい速度で繰り出される攻撃、各種状態異常や対象を即死させる「必殺」という言葉通りの凶悪技など、苛烈な攻め手でプレイヤーを窮地に追いやってくる。
だが、このヤズマットの特筆すべき点は、やはりその多すぎるHPだ。
なんとその数値は5011万! 桁の違いに思わず目を疑ってしまう。これは当時のシリーズ作品を通しても、ぶっちぎりの史上最大値だった。
本作は「ガンビット」と呼ばれるシステムで仲間たちをある程度自動的に戦わせることができるが、それを駆使したとしても、まっとうに戦えば撃破に4、5時間はかかってしまう。それほどに常軌を逸したHP設定となっていた。
筆者もかつて戦いを挑んだのだが、この桁違いの耐久力に討伐を断念。のちに弟が根気よく戦っているのを見て、思わず「まだやってるの!?」と驚いたことを鮮明に覚えている。
とうてい撃破は不可能……かに見えたヤズマットだが、その圧倒的な耐久力はプレイヤーたちの熱意を駆り立てたようで、“いかに早くヤズマットを討伐できるか”を試行錯誤する挑戦者たちが数多く現れることとなった。
■忘れたころに飛んでくる“メギドラオン”に涙…『ペルソナ3』エリザベス
2006年に発売されたPS2用ソフト『ペルソナ3』は、特殊能力に目覚めた少年たちが力をあわせ、昼は学生として、そして夜は人ならざる怪物・シャドウを相手に戦いを繰り広げていくRPG作品だ。
アトラスを代表する『ペルソナ』シリーズの一作である本作において、理不尽にすら思える圧倒的な力でプレイヤーにトラウマを植え付けた裏ボスといえば、主人公らのサポート役として序盤から登場していたエレベーターガール・エリザベスだろう。
見た目こそクールビューティーな女性だが、その戦闘能力は圧巻の一言。そもそも彼女には、主人公一人きりでの“タイマン勝負”を挑むこととなるのだが、それにもかかわらず1ターンに2回攻撃を繰り出し、そのたびに“ペルソナ”を付け替え、異なる属性の攻撃を叩き込んでくる。
さらに恐ろしいのは、彼女が持つ特殊な仕様だ。なんと彼女は、こちらが攻撃を“無効”、あるいは“反射”しようとすると、その瞬間に万能属性魔法・メギドラオンで強制的にこちらを即死させてくるのだ。
このため、常に相手の一手先を読むことで自身が死なないように立ち回りつつ、その合間合間に的確に攻撃を加えなければならないなど、単純にHPを削るだけではない繊細なプレイが必要となる。
当時は筆者も精神をすり減らしながら、挑戦したものだった。彼女に挑むたびに一手を間違え、メギドラオンであっけなく消し飛ばされたのも一度や二度のことではない……。
見た目とは裏腹に、まさにトラウマ級の実力を隠し持ったキャラクターといえるだろう。