
天才子役はいつの時代でも芸能界で話題になる存在だ。人気女優の安達祐実さんはドラマ『家なき子』(日本テレビ系)で社会現象を巻き起こし、天才子役として一世を風靡した。さらに、いまでは多くのCMに出演する芦田愛菜さんが出演した『Mother』(日本テレビ系)で、あまりの演技力に号泣してしまった人も多いだろう。
彼女たち以外にも、圧倒的な演技力で「天才子役」と呼ばれ、大人になってからも大活躍している俳優はかなり多い。この記事ではそんな天才子役たちのスゴすぎる演技を振り返っていこう。
■美しいラストに感動…神木隆之介出演『あいくるしい』
2024年10月から放送された『海に眠るダイヤモンド』(TBS系)で主演を務めた神木隆之介さんも、幼い頃から天才子役として知られていた一人。彼の演技が光る作品が、2005年に放送されたドラマ『あいくるしい』(TBS系)だ。
本作はキャストがとにかく豪華で、主演の市原隼人さんに加え、綾瀬はるかさん、小栗旬さんなど後の人気俳優が多く出演している。
神木さんが演じたのは、真柴幌(ホロ)という11歳の少年だ。この作品の中心的なキャラクターで、一度も泣いたことがないという特徴を持っている。
神木さんのずば抜けた演技力は第1話の段階ですぐにわかる。ホロは夜中、祖父の明示が働いている天文台に遊びに行き、「僕って冷たい人なのかな」と心境を吐露する。そのときの表情が、悲しさや孤独を複雑に混ぜたようで心に刺さるのだ。
それに対し祖父は、ホロの心が「太くて強いんだ」、だからこそ皆を「支えてあげられるじゃないか」と懸命に伝える。その言葉をきっかけに、ホロが自分についてよく考えるようになっていく名シーンだ。祖父を演じた杉浦直樹さんのやさしい表情や声も相まって、思わずじんときてしまう。
神木さんの演技は全話を通じて強い印象を残していて、特に最終話の、「僕は今日、いままでどうして涙が出なかったのかわかりました」とモノローグで語るシーンは印象的だ。家族の絆のバトンがつながっていき、ホロがついに涙を流す美しいラストには涙せずにはいられない。
■等身大のキャラに魅せられた…井上真央出演『キッズ・ウォー 〜ざけんなよ〜』
『花より男子』(TBS系)やNHK大河ドラマ『花燃ゆ』で知られる井上真央さん。子役時代の彼女は、昼ドラ『キッズ・ウォー〜ざけんなよ〜』(TBS系)で、お茶の間に広く知られた存在だった。
本作は1999年から2003年にかけて放送されていた作品で、複雑に絡み合う家族問題を時にシリアスに、時にコミカルに描く痛快なホームドラマだ。この作品で井上さんはメインキャラクターである茜役を務めており、正義感あふれる女の子を見事に演じて高い人気を獲得した。
本作は元ヤンの主婦・春子がシングルファーザーである今井大介と再婚し、家族が衝突しながらも徐々に「本当の家族」になっていく物語だ。
春子の娘である茜は生意気だが曲がったことが大嫌いで、大人にも負けずに立ち向かっていく強さを持っている。そんな彼女の活躍には、胸がスカッとすることも多い。サブタイトルにもなっている「ざけんなよ」は、春子と茜が発する決めセリフだ。
茜は姉妹となった里香ととにかく反りが合わず、いつも喧嘩してばかりだった。しかし、茜のピンチを救ってくれるのも、宿敵である里香である場合が少なくない。印象的なのは第1シリーズの第40話だ。このエピソードでは茜は血のつながった父親についていき、新潟に行くことを決める。
家族全体が戸惑う中で、気丈に「じゃあ、どなたさんもこれにて失礼!」と旅立っていく茜。その表情からは寂しさを隠し、あえて明るく振る舞っているのがありありと伝わってきた。この年齢でこれほど繊細な演技ができる井上さんには本当に驚かされる。結果的に里香が引き留めに来てくれて、茜は無事今井家に戻るのだが、その場面では本当にほっとした。
当時小学生や中学生だった人にとっては、等身大のキャラである茜と自分を重ねていたという人も多いだろう。いつもまっすぐな茜の姿や言葉が、子どもたちの心に強いメッセージを与えた名作ドラマだった。