ジャミラ、ノンマルト、メイツ星人…「昭和ウルトラマン」人類の犠牲となった「悲劇の怪獣&宇宙人」たちの画像
Blu-ray「ULTRAMAN ARCHIVES『ウルトラマン』Episode 23 故郷は地球」(ポニーキャニオン) (C)円谷プロ

 1966年に放送開始された『ウルトラQ』から始まった「ウルトラマン」シリーズ。地球の平和を脅かす個性豊かな怪獣や宇宙人たちが多数登場し、社会現象にまでなった「怪獣ブーム」の火つけ役となった。

 しかし、そんな中には人類の横暴さが原因で悲劇的な末路をたどった怪獣や宇宙人も少なくない。そこで今回は、単なる悪役として片づけることはできない、痛ましさに満ちた怪獣や宇宙人について掘り下げていこう。

■宇宙開発競争の犠牲になった宇宙飛行士

 最初の怪獣は、1966年から67年にかけて放送された『ウルトラマン』の第23話「故郷は地球」に登場した「ジャミラ」だ。

 東京で国際平和会議が開かれるタイミングで、その出席者が乗る船や旅客機が爆破される事件が多発。この事件を起こしていたのがジャミラだった。

 科学特捜隊パリ本部のアラン隊員によると、各国で宇宙開発競争が激化するなか、某国で打ち上げられた有人衛星が帰ってこないという事故が発生。その宇宙飛行士こそがジャミラだったが、科学の発展のために人間を犠牲にしたことが分かると大騒動になるため、某国はこの失敗を隠蔽したのだという。

 一方のジャミラは水も空気もない星に流れ着き、怪物のような姿になりながらも生き延びていた。何十年もかけてロケットを改造したジャミラは、自分を見捨てた人類への恨みを抱いて地球に帰還。この事実を知った科学特捜隊のイデ隊員は大きく動揺するものの、科学特捜隊パリ本部からの命令として、ジャミラの正体を明かさずに葬ることをアラン隊員から伝えられる。

 やがて国際平和会議の会場までたどり着いたジャミラだったが、科学特捜隊の人工降雨弾、ウルトラマンのウルトラ水流によって、弱点である「水」を浴びせられて絶命する。

 科学特捜隊はジャミラの墓碑銘に「人類の夢と科学の発展のために死んだ戦士の魂、ここに眠る」と刻み、その死を悼む。そんななか、イデ隊員の口から漏れた「犠牲者はいつもこうだ、文句だけは美しいけれど……」というつぶやきが心に残る。

■『ウルトラセブン』に登場した地球の先住民…!?

 続いて紹介するのは1967年から68年に放送された『ウルトラセブン』の第42話「ノンマルトの使者」に登場した「ノンマルト」だ。

 このエピソードでは謎めいた少年・真市が、海底の開発を進めるとノンマルトが怒る、という警告メッセージを伝える。その直後に海底開発センターの海洋調査船「シーホース号」が爆破される事件が発生した。

 ウルトラセブン(モロボシ・ダン)によると、故郷のM78星雲で「ノンマルト」は地球人を意味する言葉とのこと。また真市少年の話によれば、ノンマルトは地球の先住民だったが、人間のために海へ追いやられたという。

 やがてノンマルトに操られた怪獣ガイロスが出現。これはウルトラ警備隊によって一時的に撃退される。しかし、ノンマルトは強奪したイギリスの原子力潜水艦「グローリア号」で攻撃を開始。ガイロスも再び姿を現す。

 しかし、ガイロスはウルトラセブンが倒し、グローリア号もウルトラ警備隊の攻撃によって沈黙する。ただ、モロボシ・ダンがウルトラセブンに変身する直前に、真市少年が突如出現。人間より弱いノンマルトを攻撃しないでほしいと訴えるものの、モロボシ・ダンはこれを聞き入れずに変身する。

 その後、ウルトラ警備隊は海の奥底で、ノンマルトの住む「海底都市」を発見する。キリヤマ隊長はノンマルトが地球の先住民だという話に思い悩みつつも、目の前の施設が「侵略基地」であることを危惧して攻撃を決断。ノンマルトの海底都市は爆破された。

 戦いのあと「我々の勝利だ。海底も我々人間のものだ」というキリヤマ隊長の言葉は、あまりにも空しかった……。

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