■海賊狩りが増えないのは懸賞金制度のせい?
賞金首を倒せるほどの実力があれば、それ以外の道を進んだほうが手っ取り早く稼げる……という実態を踏まえたうえで、懸賞金制度について再注目していきたい。
先述した通り、懸賞金は海賊など、政府に敵対する危険人物に対してかけられ、該当人物を生け捕りにすれば満額が支払われる仕組みのようだ。つまり手配書に「DEAD OR ALIVE(生死は問わない)」と書かれていても、「死亡した状態」で引き渡すと3割減額されることを、ウイスキーピークの町長に扮装したイガラムが明かしていた(それがすべてのケースに当てはまるかは不明だが)。
そして、これは犯罪行為に手を染めていない人物が賞金首を倒した場合の話だ。もしも海賊が賞金首を倒して海軍に身柄を引き渡したとしても、そもそも当人が海賊=犯罪行為を働いているために懸賞金はもらえず、その人物の逮捕に動くという。
つまり、海賊がどれだけ他の海賊を倒したとしても懸賞金はもらえず、逆に悪名が広まることで自分自身にかけられた懸賞金が釣り上がってしまうというシステムなのだ。
そもそも「懸賞金」という制度自体が形骸化している点は否めない。海賊が海賊を捕らえた場合の報酬がないこともそのひとつで、現時点では該当人物の危険度や強さを示す、単なる指標のような数字でしかないのだ。
実際に賞金首を倒して「懸賞金をもらった」というシーンが描かれたことはないに等しく、逆にバギー率いるクロスギルド側が海兵に対して懸賞金をかけたことで、海軍本部のTボーン中将が市民に刺されて殉職するという事件が発生。皮肉なことに、その人物にバギーから懸賞金が支払われたというシーンは描かれていた。
膨れ上がる海賊に対して、賞金稼ぎの数がまったく増える気配を見せないのは、やはり世界政府や海軍が主導する懸賞金制度のシステム上の問題が大きいと思わざるをえない。損得勘定を抜きにして、強大な海賊たちに立ち向かう一般人が現れる日が、いつか来るのだろうか。