『週刊少年ジャンプ』(集英社)のバトル漫画には、見る者を圧倒するような“巨体”を活かし戦うキャラクターたちが多数登場する。大きな肉体から繰り出されるパワフルな一撃や、あらゆる攻撃を寄せ付けない耐久性など、バトルにおいて凄まじいアドバンテージを持つはずの彼ら。だが一方で、“巨体”という利点をいまいち活かしきれず、結果、見かけ倒しで終わってしまう場面も。
今回は漫画作品に登場した、どこか小物感溢れるデカキャラたちを見ていこう。
■人間離れした巨体も“北斗神拳”が相手では分が悪い?『北斗の拳』デビルリバース
数々の名作バトル漫画を世に送り出した『ジャンプ』だが、なかでも“拳法”を身につけた屈強なキャラクターたちが激闘を繰り広げる作品といえば、1983年から連載された『北斗の拳』だろう。
武論尊さんの手掛ける骨太な原作と、原哲夫さんの圧倒的な画力が融合した伝説的な作品で、荒廃した世紀末の世界を舞台に“北斗神拳”の伝承者・ケンシロウが数々の強敵たちと戦っていく。
作中ではケンシロウが見上げるほどのデカキャラが数多く登場するが、なかでも随一の巨体を披露し読者を圧倒したのが「デビルリバース」だ。
極悪人が収容される“ビレニィプリズン”に投獄されていた彼の大きさは、まさに“巨人”と呼ぶにふさわしい規格外のサイズだ。ケンシロウと並んで立つ姿を見ても、その身長は成人男性の約7〜8倍程。明確なサイズ表記こそないものの、人間を片手で掴み上げたり、ケンシロウを両手ですっぽりと覆い隠すなど、レベルを逸脱した体躯を見せつけた。
しかもこのデビルリバースには数々の逸話があり、過去700人を殺し死刑執行も13回されているが、電気椅子も絞首台も効かず生き延びたという。さらに、古代インドの殺人拳「羅漢仁王拳」まで使えるというのだから、対峙する者にとっては絶望的な状況だ。
そんなデビルリバースにさしものケンシロウも苦戦は必至……かに思えたが、ケンシロウが「転龍呼吸法」によって自身を強化してからは、体格のハンデをものともせず、あまりにもあっさりと形勢逆転。
あの手この手で反撃するデビルリバースだったが、そのすべてを難なくケンシロウに防ぎきられ、最後は奥義「北斗七死星点」を叩きこまれたことであえなく敗北した。
インパクト大な見た目だけに、そのあまりにもあっけない散り際に肩の力が抜けてしまった読者も多いのではないだろうか。
■圧倒的戦闘力を支えるまさかの動力源とは…『ドラゴンボール』メタリック軍曹
『ジャンプ』のバトル漫画といえば、1984年から連載された『ドラゴンボール』も忘れてはいけない。
鳥山明さんの代表作にして国民的人気を誇る本作にも、見かけ倒しなデカキャラが登場する。それが「レッドリボン軍編」にて、幼少期の孫悟空と戦った「メタリック軍曹」だ。
レッドリボン軍・ホワイト隊の基地である「マッスルタワー」の3階を守っている番人で、隊のなかでも随一の巨体を誇り、初めて出会う悟空も「わ〜でっけえな」と、その体躯に驚いていた。
見た目通りかなりタフな男で、これまで数々の強敵を打ち倒してきた悟空の攻撃にびくともせず、挙句は口から“ミサイル”を放ったり、腕を“ロケットパンチ”として飛ばすなど、意表をついた攻撃の数々で悟空を圧倒する。
その攻撃からも分かるように、メタリック軍曹の正体は人間ではなくロボットだった。このため、悟空の「かめはめ波」で頭部を吹き飛ばされてもなお攻撃し続けるなど、予想外の不死身さを見せつけた。
だが、実は彼は“乾電池”を動力としていた。結果的に“電池切れ”を起こしたことで、あえなく停止……事実上、悟空の勝利となった。
なんともあっけない幕切れを迎えてしまったが、一方でもし彼が乾電池ではなくまともな動力源を兼ね備えていたらと考えると、少しストーリーが変わっていたかもしれない?