■思わず竜王の言葉を思い出す? 強者に敬意を表する「余の部下にならんか」
バーンとの一戦に敗北するも反旗を翻したハドラーによって助け出されたダイたちは、その後、カール王国の女王フローラの元に再結集する。そして、「ミナカトール(大破邪呪文)」の存在とアバンの使徒が持っている「アバンのしるし」が聖なる力を持っていることを知る。
バーンが拠点とするバーンパレスは強力な結界に守られているため、地上から普通にルーラで向かうことはできない。そこで、ミナカトールの力を使うことにしたダイたちは五芒星を軸に5人の使徒がアバンのしるしを発動させて結界を消し、ルーラで突入した。
その後、ハドラーや配下の親衛騎団を倒し、死んだと思われていたアバンとも再会。そうしてバーンとダイは2度目の対決をおこなうこととなる。
2度目の対決では、バーンと互角の戦いを見せるダイ。神々の時代から受け継がれてきた竜の騎士の“闘いの遺伝子”がダイに脈づき始めたと感じたバーンは、その強さが自分と同等であると認めた。
そして、ダイのその強さを惜しんだバーンは問う。「念のため……聞いておこう……」「……余の部下にならんか……?」と。
この「余の部下にならんか」というセリフ、『ドラクエ』好きならピンとくるだろう。これは初代『ドラクエ』の竜王の言葉を思い出すセリフだ。だが、竜王は“部下になれば”ではなく、“味方になれば”世界の半分をくれると言っていた。もちろん承諾すれば最悪の結果になるのだが……。
その後、バーンは“人間は最低だ”と続け、その愚かさについて説き、ダイを仲間に引き入れようと揺さぶる。だが、ダイの答えは“NO”。ダイは人間や地上の生物が好きだと言い、地上の人々がそれを望むならバーンを倒して自分もこの地上を去るとまで豪語した。
真理を突いたバーンの言葉にも感銘を受けるが、まだ少年のダイがここまで覚悟するとは……「余の部下にならんか」に続き、胸が熱くなる印象的なシーンだった。
『ダイの大冒険』で、悪役ながらも魅力的な大魔王バーン。その絶対的強者感が見せる余裕がゲームのラスボスをイメージさせるので、読んでいた当時もワクワクしたものだ。
そういえば、「余の部下にならんか」は、ハドラーが初登場した際、家庭教師をしていたアバンと対峙したときにも登場したセリフだ。アバンは一笑に付していたが、『ドラクエ』好きにはたまらない展開だったものだ。