尾田栄一郎氏の漫画『ONE PIECE(ワンピース)』に登場する強者たちに共通する重要アイテムといえば、「悪魔の実」の存在が真っ先に挙がる。だが、物語が進むにつれて、それに並ぶほどに重要視されるようになったのが「覇気」の存在だ。
3種類ある覇気の中でも、数百万人に一人しか持たないとされるのが「覇王色の覇気」。実は、数多の海賊が目指す“海賊王"になるためには、悪魔の実を持たずに覇王色の覇気を有しているのが重要なのではないか、という説が浮上している。
そこで、作中に登場する悪魔の実を食べていない非能力者、かつ覇王色の覇気持ちの中で、誰が重要な立ち位置になってきそうかを考察していきたい。
■能力者では海賊王になれない? 非能力者なのに海賊の頂点に立ったロジャーの存在
なぜ悪魔の実の能力者ではなく、非能力者が重要なのかというと、やはりすでに海賊の頂点に至った者の存在が大きい。何を隠そう、現段階で唯一の海賊王である「ゴール・D・ロジャー」だ。
ロジャー海賊団の全盛期には、金獅子のシキやビッグ・マム、白ひげといった強大な能力者たちがすでに四皇的なポジションにいたため、ロジャーも大層強力な能力を有しているだろうと思っていた読者は少なくないはず。
しかし、作中で驚くべき真実が明かされた。ルフィと対峙した四皇のカイドウが、「世の中はうまくできてる」「ロジャーが能力者じゃなかったように…!!!」 と発言したのだ。
カイドウといえば、過去にロジャーにとっての「最初にして最大の敵」と称されたロックス・D・ジーベック率いるロックス海賊団に所属。ゴッドバレー事件にて対峙した経験のあるカイドウのセリフなのだから、ほぼ真実と受け取って間違いないだろう。
ということはロジャーは、並みいる強豪と対峙し続けたであろう海賊人生において、3種類の覇気だけを頼りに海賊たちの頂点にのぼり詰めたことになる。
周囲の猛者たちの大半が悪魔の実の能力を有していたことを考えると、ロジャーだって悪魔の実を食べようと思えばできたはずだ。それでもロジャーが能力者になるという選択を採らなかったのは、なぜなのだろうか。
ロジャーは自由を重んじていただけで、そもそも「強さ」はそこまで追い求めなかったのか。それとも、海に嫌われる悪魔の実の能力者になることで、海を泳ぐという自由が失われるのを嫌ったというのか。
のちにベガパンクの口から明かされた、この世界の成り立ちの事実を鑑みても、あえてロジャーが非能力者を貫いたように思えてならない。
■現覇王色の覇気持ち、かつ非能力者の有力者といえば…?
ロジャーが非能力者のまま海賊王になったことは事実と受けとめるとして、現在彼と同じく覇王色の覇気の保持者であり、悪魔の実を食していない実力者を挙げてみよう。
現状判明しているなかでは、四皇シャンクス、海賊王の右腕だったレイリー、世界最強の剣士と呼ばれるミホーク、つい最近覇王色持ちらしきことが示されたばかりのゾロ、同じく最近になり『VIVLECARD ONEPIECE図鑑』(集英社)で覇王色の覇気を有すると判明したガープ、そのガープと勝負したチンジャオ、またすでに死亡しているが光月おでんも該当する。
やはり、人の上に立つ“王の器”を持つ者が有する覇気と言われているだけあって、覇王色持ちは、いずれも何らかの形で名をあげた者ばかりだ。
彼らは非能力者であるがゆえにカナヅチにならず、海中でも戦闘が行えるのが悪魔の実の能力者に対する大きなアドバンテージといえる。もっとも実際に海中での戦闘が描かれた場面は、魚人島にてゾロがホーディと一戦交えたり、レイリーが凪の帯を泳いで渡って海王類を仕留めたりと、そこまで頻度が多いわけではないが……。
ベガパンクが明かした事実によって、海の存在がこれまで以上に注目されるようになったからこそ、非能力者である彼らの存在感が増してきそうだ。