2024年12月20日公開『聖☆おにいさん』ブッダを熱演! “カメレオン俳優”・染谷将太が出演した漫画実写化作品を振り返る 『HOLiC』や『寄生獣』、『バクマン。』も…の画像
(C)中村光/講談社 (C)2024映画「聖☆おにいさん」製作委員会

 神の子である「イエス」と、目覚めた人「ブッダ」……誰しもが知る聖人たちがルーズにバカンスを送る模様を描いた、中村光さんのギャグ漫画『聖☆おにいさん』。

 宗教に登場する存在をモチーフとした個性的なキャラクターたちが魅力の本作は、2018年の実写ドラマ化を経て、2024年12月20日より劇場版『聖☆おにいさん THE MOVIE〜ホーリーメンVS悪魔軍団〜』が公開されることとなった。

 ドラマ版と同じくメインキャラのブッダを演じるのは、子役時代から俳優として活躍を続ける染谷将太さんだ。そこで今回は、“カメレオン俳優”と称される染谷さんが出演した、実写化作品を振り返ってみたい。

■ときにピュアに、ときにクールに…「学生キャラ編」

 数多くの漫画実写化作品のなかでも、作品ごとにそのテイストが大きく変化する役柄といえば、“学生キャラ”ではないだろうか。

 たとえば、2013年に実写ドラマ化された若杉公徳さんの人気漫画『みんな!エスパーだよ!』で、染谷さんは突如他人の心の声が聞こえるテレパシー能力に目覚めた主人公の高校生・鴨川嘉郎を演じている。

 鴨川は平凡で真面目な学生だったが、自身に目覚めた能力をきっかけにさまざまなエスパーたちが入り乱れる混沌とした日常に巻き込まれていく。SF要素とコメディ要素がミックスされた本作において、染谷さんは特殊能力に目覚めながらも、若者特有の悩みや葛藤、下心といった数々の感情に揺れ動く鴨川の姿を熱演した。

 本作では女装も披露していた染谷さん。映画版の舞台挨拶では「こんなにおバカなことを一生懸命やり続けたのは人生で初めてです」というコメントを笑顔で残していた。

 また、漫画家集団・CLAMP原作の2013年放送の実写ドラマ『CLAMPドラマ ホリック〜xxxHOLiC〜』で、染谷さんは“アヤカシ”を惹きつける力を持った主人公の高校生・四月一日君尋(わたぬききみひろ)を演じている。

 四月一日は普段は物静かな青年だが、実は凄い料理の腕前を持っていたり、ときに鋭く乱暴な物言いをしたりとギャップを持つ個性的なキャラクターだ。染谷さんはこの数々のギャップを自然体で表現し、原作さながらのミステリアスさ、そしてどこか人間臭いキャラクター性を見事に再現。

 ひとくちに“学生キャラ”とはいえ、作品にあわせてガラリと表情を変えて役になりきっており、同じ人間が演じているとは思えないほどの演技であった。

■キャラの葛藤や怒りまで憑依させる姿に脱帽…「ホラー・サスペンス編」

 ホラーテイストの作品でも染谷さんは演技力の高さを発揮し、多くのキャラクターを三次元の世界に降臨させている。

 岩明均さんの人気漫画を原作に2014年に公開された『寄生獣』で染谷さんは、“パラサイト”に寄生され、人外の存在と共生を余儀なくされる主人公の高校生・泉新一に抜擢された。

 映画出演のオファーをきっかけに原作漫画を読んだそうだが、とくに、主人公・新一が持つ“怒り”と“哀しみ”の感情に着目し、彼が自身に宿った“パラサイト”・ミギーとの対話を通じて成長していく様子や、不意に人間を超越した行動に出るぞっとした一面をどのように見せていくのか、試行錯誤しながら演じていたという。

 CGを駆使して作られた本作において、右手に寄生したミギーが実際にいるかのように見せる演技も素晴らしかった。染谷さんは「CGなのに、ミギーが動いているのを見るとなぜか懐かしい」とのちに語っているが、撮影時、“実際はそこにいない”ミギーとの絆を演技によって観る者に感じさせるのだから恐れ入ってしまう。

 また、古谷実さんの漫画を原作とした2012年の映画『ヒミズ』では、とある事件をきっかけに平凡な人生を手放し、運命に翻弄されていく主人公・住田祐一役を演じた。

 住田は父親を殺害したことをきっかけに崩壊の道を突き進んでいくのだが、自身に恋心を抱いた茶沢景子に幾度となく引き留められ、光と闇の狭間で揺れ動く。

 感情を爆発させ怒鳴ったり、複数人相手に暴れまわるなどなかなか過激なシーンも多い本作。染谷さんはのちのインタビューにて、「リハでは一切怒鳴ってなかったんですが、いざ撮影に入ったらああやってぶち切れることになっていきました」「基本的にカット割りがなく、シーンの頭から最後までぶっ通しで撮るから、感情が途切れないんです」と撮影秘話を明かし、監督を務めた園子温さんの現場力を称えていた。

 鬼才と呼ばれる園監督の手腕はもちろんだが、自らの意志をコントロールできなくなるほどに、染谷さんは役にのめり込んでいたのだろう。その“怪演”っぷりは各所で絶賛され、染谷さんは本作で「マルチェロ・マストロヤンニ賞 (新人俳優賞)」を受賞することとなった。

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