■なんと小五郎に敗北!? 第37巻「見えない容疑者」
最後は、コナンが毛利小五郎に後塵を拝したまさかの事件を紹介したい。
第37巻「見えない容疑者」でのこと。この回では、コナン、小五郎、蘭の3人が推理ドラマの撮影現場を訪れた際、俳優・風見良輝が殺害される事件が発生する。
すぐにトリックを見抜いたコナンは、共演者の南雲暁を犯人だと断定。いつものように麻酔銃を使って小五郎を眠らせ事件解決に導こうとするが、小五郎は共演女優で幼なじみの雨城瑠璃を個室に連れ出し、二人きりで話を始める。
小五郎はコナンと同じように南雲が犯人であることに気づいており、さらに南雲と瑠璃が“親子関係”にあること、事件の背景にある事情までも察していた。そのため、南雲を庇う瑠璃にあえて真相を告白させ、なおかつ彼に自首を勧めるように説得したのだ。
そもそも今回の殺人の動機は、南雲と瑠璃の2人を“愛人”だと勘違いしていた風見がそれを晒そうとしたことにあった。
実は昔、瑠璃の母親は南雲と恋人関係だったが、別れて今の夫と付き合い始めたあとに南雲の子を妊娠していたことに気づいた。その子が瑠璃だった。そんな出生の秘密に触れるようなことがあっては彼女の家庭が壊れてしまうと、南雲は殺人を犯したのだ。
事件の根幹にかかわるこの動機だが、小五郎が2人を“親子”と断定したのは、瑠璃と親しそうにする小五郎に向けた南雲の態度が、“父が娘を心配する親心”だと気づいたからであった。一方、コナンは小五郎の謎解きを聞くまで、2人を“愛人関係”だと誤解していた。
普段はドジでへっぽこな面が多い小五郎だが、このエピソードでは彼の探偵としての隠れた力量、さらに温かみのある人間性がうかがえる。小五郎の観察力、経験則に完全に敗北したコナンだった。
名探偵として知られる江戸川コナンこと工藤新一も、時には勘違いや思い込みによる推理ミスをしてしまうことがある。普段は冷静沈着なコナンが見せる思いがけないミスや焦りは、ファンにとっても新鮮で印象深い瞬間に違いない。
2025年4月、劇場版28作目『名探偵コナン 隻眼の残像』の公開が発表されたばかりの本作。まだまだ続くコナンたちの物語から目が離せない。