昨今のゲームは、広大で骨太なストーリーと美麗なグラフィックがプレイヤーを魅了し、さらに世界中の人と戦えるオンライン対戦なども主流となっている。そして説明書などはなく、チュートリアルで操作を覚えていくのが基本だ。
これは据え置き型やスマホアプリのゲームでもそう変わらない。ゲームクリアまでに相当な時間が必要で、そもそもクリアを目指すものではないソーシャルゲームも人気を博している。
もちろんそれはそれで楽しめるが、昭和世代の筆者にとっては時に疲れてしまうことも。たまには懐かしのファミコンレトロゲームに興じて、ホッと一息つきたいものである。
そういえば、ファミコン初期のゲームでは、何かと高得点を目指してプレイしていたことが思い出される。今ではそんな意識もなくなってしまったが、高得点を狙うための「標的」を、名作ファミコンソフトとともに振り返ってみたい。
■ラザロの合体前に連射しまくった『スターソルジャー』
ファミコン時代の「連射」といえば、やはり“高橋名人”と“ハドソン”が思い出される。当時の少年たちの憧れでもあった連射テクニックを存分に発揮し、『スターフォース』『スターソルジャー』といった名作シューティングゲームを世間に知らしめた。
1986年6月に発売された『スターソルジャー』は、ボタンを長押しすることで自動連射が可能だ。しかし、当時は連射速度が遅く、次のショットまでに時間がかかるので、迫り来る敵キャラを倒すことができない。
コントローラを置いてボタンを擦りつけたい衝動に駆られるが、それだと十字ボタンが使えず、敵の攻撃をかわせない。それゆえ、右手の親指で必死にボタン連打をし、連射を繰り出していた。ちなみに当時、筆者の友人宅にはハドソンのジョイスティックがあり、連射のしやすさを羨ましく思ったものだ。
さて、このゲームは難易度が高かった。スピード感のある敵キャラが急に方向転換をするので、初見では狙い撃ちが厳しい。何度もプレイすることで得点をたたき出せるようになるも、ザコキャラは空中・地上問わず100点や200点程度。だが、案外すぐに10000点くらいにはたどり着ける。
本作で高得点を得るために欠かせないのが、画面4隅から出てきた4つのパーツが合体し、不気味な顔になる「ラザロ」だ。パーツが合体する前に内部に潜り込み、上下に打ち分けて撃破すると、なんと80000点にもなる。
ボスキャラの「スターブレイン」でさえ5000点程度なので、驚くほどの高得点だった。大きな目玉の「デライラ」も、同じく80000点の高得点を出せるが、BGMが変わると登場する“不気味な顔”のおかげで、ラザロのほうがインパクトは大きかったように思う。
ラザロは16発当てないと撃破できない、連射が必須の中ボスだ。合体後に倒しても1000点しかもらえないので、その前に撃破することに闘志を燃やした。BGMが変わったらすぐに中央へ移動し、連射に備えたものである。
■知る人ぞ知る高得点キャラが…『ゼビウス』
1984年11月にナムコ(現:バンダイナムコエンターテインメント)から発売されたのが、アーケードでも大人気を誇っていたシューティングゲーム『ゼビウス』だ。ファミコンに移植されてからもブームを巻き起こし、筆者ら少年たちもみんな遊んでいた。
『ゼビウス』には自機を強化していく要素がないので、ひたすら空中攻撃(ザッパー)と地上攻撃(ブラスター)を使い分けて戦っていく。
空中のザコキャラは30点の「トーロイド」を含め、みんなスコアが低い。しかし、地上の敵キャラは「バーラ」100点、「ゾルバク」200点と空中戦より高得点を目指すことができた。
なかでも意外な点数をゲットできるのが「グロブダー」だ。さまざまな場所に出現する戦車型の敵だが、実はそれぞれ点数が異なる。最低200点で、400、600、1000、1500、2000、2500点と、出現エリアと倒しにくさで点数が変わってくるのだ。
その最高はなんと1万点で、2ヶ所に登場するのだが、これがかなりの難敵。こちらの地上攻撃に反応して高速移動するため、まず逃げられてしまう。他のグロブダーとは全く違う俊敏さで、「破壊できる人は本当にいるのか……」と思ったものだ。
さらに、ボスキャラ「アンドア ジェネシス」も、大きな得点源となる。倒すにはブラスターを的確にコアに命中させないといけないが、コアのまわりに4つある砲台を倒すこともでき、これがそれぞれ1000点という高得点なのだ。
突然大きな要塞が登場し、激しい攻撃にビビッてコアだけを狙ってしまいがちだが、冷静に砲台から対処すれば、コアの約8000点に加えて、4000点を追加ゲットできるというわけだ。
ほかにも、出して2000点、破壊して2000点の「ソル」や、1機増えて1000点もらえる「スペシャルフラッグ」という隠しキャラもあった。まさに『ゼビウス』は、高得点を狙うには、腕前と知識が必要なゲームだったといえるかもしれない。
■ベルを攻撃してパワーアップ!軽快なBGMと可愛いキャラも愛らしかった『ツインビー』
1986年1月にコナミ(現:コナミデジタルエンタテインメント)から発売されたのが、シューティングゲーム『ツインビー』だ。こちらもアーケードで注目された作品だが、ファミコンに移植されてからはさらに人気を博した。
「ツインビー」や「ウィンビー」といった自機に加え、敵キャラのフォルムも可愛らしい。2人同時プレイが可能なうえ軽快なBGMも楽しく、当時の子どもたちを夢中にさせた名作ゲームである。
浮かんでいる雲を攻撃して隠れているベルを出し、それを何度か撃つことでベルの色が変化していく。そのベルを取ったときの色によって、各種パワーアップが可能となるのだ。
まず、青いベルを出して“スピードアップ”を目指すのだが、あまり速くし過ぎると操作しづらくなってしまう。パワーアップしたときのファンファーレのような効果音も、やる気アップに繋がった。
高得点を出すためには、“分身”(緑色のベル)と“バリア”(赤色のベル)、それから“ツイン砲”(白色のベル)が必要だった。空中にいる敵は100点。地上の敵を倒してももちろん得点が入るが、その跡地に出現するフルーツなどを取ることでも得点が加算される。
そしてなにより、黄色のベルを取り続けると最高10000点のボーナスが入るので、これを見逃してはならない。
また、ステージのボスを倒すと10000点の高得点が得られるが、画面いっぱいに素早く動き回るので、初見だと難しかったものだ。
ボタン連射は苦にならなかったが、自機のスピードが速くなり過ぎてしまうと誤って被弾してしまうことが多かった。操作に慣れるまでは、青いベルを取り過ぎないように注意することが重要だといえるだろう。
ファミコン初期には、とにかく高得点を狙っていくゲームが多かったように思う。ここで紹介したシューティングゲームはもちろんのこと、アクションゲームでも同様に高得点を目指しプレイしていた。
今ではほとんど意識しなくなったものだが、セーブ機能もないのに毎日最初からやり込んで高得点を狙ったのは、あの時代だからこその醍醐味といえるだろう。