■ウイグルが独特な兜をかぶったワケは?
ウイグル獄長といえばラオウのようなごつい兜が目を引くが、この兜をかぶるきっかけになったエピソードも『ラオウ外伝』にて語られている。
ラオウからカサンドラを統べるよう命じられたウイグルは、すぐさま前獄長に対し「拳王のかぶっていたような兜を作れ」と命じる。これはラオウに共鳴したウイグルが、これから築きあげる「恐怖のカサンドラ伝説」の幕開けを宣言する最初の行動であり、ラオウのような男になりたいという尊敬の表れにも見えた。
■これもウイグル獄長の強さ!? 兜に隠された秘密
ちなみに、ウイグル獄長の兜はケンシロウとの戦いのときに武器として大いに活躍することになる。
兜の左右には大きな角がついているが、実は角の中に「泰山流千条鞭」という、ひとつのグリップに何本もの鞭がついた武器が隠されているのだ。
角の中から多数の鞭が出てくるというアイデアは、作画を担当した原哲夫先生が考えたようで、自身でもあり得ないと思いながらも荒唐無稽なことをやりたいという思いから、この武器を作り出したという。
戦いの中でケンシロウは「泰山流千条鞭」によって身動きを止められ、ウイグル獄長の「蒙古覇極道」が見事にヒット! ケンシロウを大きく吹っ飛ばし、隠し武器の効果を見せつけた。ただし、結果的にウイグル獄長の見せ場はここまでだったのだが……。
さらに、兜のトサカ部分にも刃物が隠されており、ウイグル獄長はケンシロウに肩を破壊されたあとで、この隠し武器を披露。刃物を活かした頭突きで果敢に攻めていった。
しかし、最終手段である隠し武器を用いても劣勢をはね返せず、ケンシロウの連撃を食らってジ・エンド。ウイグル獄長の頭部とともに兜もボコボコにされてしまった。「蒙古覇極道」を命中させたときにこの刃物を使っていれば、もしかしたら多少戦況が変わっていたのかもしれない。
豪快な外見や性格を持っていた一方、いざというときのために兜に武器を仕込むという周到な細やかさを併せ持っていたウイグル獄長。そんな二面性が、他の悪党とはひと味違う彼の存在感の源だったのかもしれない。