■精神の弱い人は10回で死ぬ?「百苦タイマー」
『ドラえもん』に出てくる道具は、命の危機をもたらすものも多い。「百苦タイマー」に登場する同名道具もその一つだ。ある日、ドラえもんとセワシが道具の点検をしているところにのび太が乱入。追い出された彼は、二人の目を盗んで百苦タイマーのボタンを押してしまう。
百苦タイマーは、押した者の身に100分間で100の苦しみが降りかかる拷問道具に近い代物。しかも、全部終わるまで止まらないという地獄仕様だ。見た目は目覚まし時計型タイマーなので、押したくなる気持ちもわかる。むしろ、こんな危険物が普通にあるほうがおかしい。
のび太の苦難はどんどんとエスカレートし、4回目には鉄骨の下敷きになり、5回目にはポイ捨てタバコで火傷し、6回目には車にはねられている。7回目に包丁を持ったしずかちゃんに襲われたところで、セワシが百苦タイマーを“100年後に持っていく”という機転で難を逃れた。
実はこれ、精神を鍛える修行に使ったりする道具らしい。ドラえもんいわく、弱い人は10回目くらいで死んじゃうこともあるそうだが、もはや修行の域を超えている。ただ、これは自分で押さない限り害がないのでマシなほうかもしれない。
■恐怖の身代わり人形「のろいのカメラ」
「地球破壊爆弾」のように広範囲に被害が及ぶ道具もあれば、ピンポイントに甚大な被害を及ぼす道具もある。それが「のろいのカメラ」に登場した同名道具だ。「のろいのカメラ」で撮影すると、被写体そっくりの人形ができる。
しかもその人形は被写体とシンクロしており、人形にしたことがそのまま被写体に伝わるようになっている。人形を刺せば同じ場所が痛み、水で濡らせば被写体から水が出て、暑さや寒さもダイレクトに伝わる、いわば呪いのわら人形の上位互換のような道具なのだ。
怖いのは、写真さえ撮れれば人形を通じて相手の命を奪うこともできてしまうということ。離れた場所から手を下せるので証拠も残らず、撮影された相手もまさか自分が人形で殺されかけているとは思わない。個人的な狙いならこの道具が最も適しているかもしれないが、何とも恐ろしい。
作中ではのび太を馬鹿にしたスネ夫を懲らしめるためにドラえもんが出したものの、あまりの残酷さに使用を中止していた。だが何も知らないのび太がドラえもんと両親を撮影し、ドラえもんがおままごとをしていたジャイ子らに殺されかけてしまった。結局、人形たちをどう処理したのかも気になるが、危険度レベルはかなり高いと言えるだろう。
どの道具も、どうやったら平和的に使用できるのかがわからないレベルで危険である。優しいのび太だからいいものの、悪人が手にした場合、それこそ世界が終わってしまうかもしれない。