1979年に放映されたテレビアニメ『機動戦士ガンダム』から始まり、今年2024年にも新作アニメーション『機動戦士ガンダム 復讐のレクイエム』が配信されるなど、長きにわたって愛され続けている。
大半のシリーズ作品の主人公はモビルスーツのパイロットであり、戦場における戦いが描かれてきた。主人公の多くは特別な能力や卓越した操縦技術を身につけ、活躍をみせている。
そして作中では、パイロットの能力が高すぎるあまりに、当時の最新鋭の機体ですら性能不足に感じてしまうようなケースもみられた。
初代『機動戦士ガンダム』では、主人公のアムロ・レイがジオン公国軍のニュータイプパイロット「シャリア・ブル」が駆るモビルアーマー「ブラウ・ブロ」と交戦。この戦いでアムロが求める操縦に機体のほうがついていけず、「ガンダムの反応が鈍い」と愚痴をこぼすシーンがあった。
このときのアムロのように、パイロットの能力が高性能機体の性能すら超越してしまったシーンをピックアップして振り返ってみよう。
■「殺人的な加速のはずが…」反応速度を超えた「ゼクス・マーキス」
『新機動戦記ガンダムW』には、ウイングガンダムをはじめとする5機の主役機や、後継機が登場するが、それらの原点とされるのが、「トールギス」という機体である。
「防御力、機動力、攻撃力を並立させた最強兵器」というコンセプトで開発され、特に直線軌道でフルスロットル加速した場合、パイロットには15G以上がかかるとされた。
同機に搭乗したゼクス・マーキスは、パイロットとして優れた適性を持っていたが、そのゼクスでさえ乗り始めた当初は強烈な加速に体が悲鳴をあげ、吐血や不整脈を起こしたほどである。
第9話にてトールギスに初搭乗した際に、ゼクスが「殺人的な加速だ!」と発言したのは有名な話だ。実際、この機体に搭乗した張五飛の妻・竜妹蘭は、あまりの加速負荷に体が耐えきれず、命を落としている。
「トールギスの欠点はパイロットが生身の人間であることだ」とまで言われるほどの高性能機だったが、13話あたりから乗りこなせるようになったかと思うと、なんとゼクスの反応速度のほうがトールギスの運動性能を上回ることになる。
33話では、当初あれほど制御するのに苦労したトールギスの反応速度が鈍く感じるまでに至っており、機体性能を超越するほどの技術と能力を身につけたことになる。
のちにゼクスは、トールギス数機分という、とてつもない運動性能を誇る「ウイングガンダムゼロ」や「ガンダムエピオン」もしっかりと乗りこなしている。