■拳法家としての実力には疑問符!?

 ケンシロウとの戦いでアミバは、最初はケンシロウの拳をすべて受け止めたうえ、お互い指による突きを繰り出す展開に。その鋭い技のキレは、トキをほうふつさせるとケンシロウを戦慄させた。しかし、トキの非道な行いを目の当たりにしたケンシロウが怒りを爆発させると状況は一変。アミバは徐々に圧倒されていく。

 その後、一時はケンシロウの秘孔を突いて動きを止めるものの、この技は秘孔封じによって無効に。注目すべきは、この直後の展開だ。

 復活したケンシロウを前にして、アミバが繰り出したのは「鷹爪三角脚」。壁を踏み台にして相手に襲いかかる蹴り技だが、あまりにモーションが大きくてケンシロウにかわされてしまう。

 続く「アミバ流北斗神拳」もケンシロウに難なく破られ、万事休す。戦況が苦しくなったときに「鷹爪三角脚」でケンシロウに対抗するのではなく、これまで研究を重ねてきた自らの秘孔の技術を信じていれば結果は変わったかもしれず、そう考えると残念でならない。

 天賦の才に恵まれたトキに追いつけずとも、新秘孔を発見したり、徹底した模倣でケンシロウを惑わせたりした執念を見せたアミバは、「努力の天才」といっても過言ではない。惜しむらくは、その才能をトキへの嫉妬にのみ向けてしまったことではないだろうか。

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