■覇気だけがすべてを凌駕する!?

 物語の序盤は、自然(ロギア)系の能力者は無敵にも見える強さを誇ったが、武装色の覇気によって対抗できることが判明。そして覇気の力は鍛錬によって強化、洗練させられるため、強者にとっては必須の力ともいえた。

 ルフィに稽古をつけたレイリーも「覇気は…実戦の極限状態にこそ更に開花する」「強敵と向き合う程に…お前は益々強くなる」と語っている。

 世界中の猛者の大半が覇気を習得していることも踏まえると、新世界以降の海賊王を目指す者にとって覇気を鍛えることは、もはや必須事項といえるだろう。

 そんな覇気の重要性については、四皇だったカイドウが言及したこともある。彼は「“能力”が世界を制する事はない」「覇気だけが!!! 全てを凌駕する!!!」 と発言しており、カイドウ自身も覇王色の覇気を駆使して戦っていた。

 もちろん、これはカイドウの持論であり、作者の尾田氏はコミック79巻の読者コーナー「SBS」にて、「能力の強さ=キャラクターの強さでもありません」「どんな戦いも勝負の行方はわからないのです」と語ったことから、能力や覇気が強ければ絶対勝てるとは言い切れないようだ。

 ちなみにカイドウは、海賊王ゴール・D・ロジャーが能力者ではなかったことも明かしており、おそらくロジャーは覇気だけで海賊の頂点に至ったと思われる。

 “最強生物”とまで謳われたカイドウほどの人物が覇気を鍛え抜いていたことからも、重要視すべき要素なのがわかるだろう。

■覇王色は別格? なんでもありの能力なのか…!?

 3種類の覇気のうち、武装色と見聞色は全世界の人が秘めている力だ。しかし、覇王色だけは“王の資質”を有する、限られた人物だけが持つ力とされている。

 ロジャーや白ひげ、シャンクス、そしてルフィをはじめ、一部の強者のみが持っていたわけだが、最近はこの「覇王色の覇気」がトレンドになりつつある。

 たとえば、ワノ国編で描かれたカイドウ&ビッグ・マムVSルフィたちの決戦でも、覇王色をまとうという技術が明かされた。さらにシャンクスが覇王色の覇気を放った際は、遠く離れた場所にいた海軍大将・緑牛を的確に拘束するという芸当を見せている。

 加えて、劇場版『ONE PIECE FILM RED』の入場者特典「40億巻」にはシャンクスの設定として、「覇王色」「“見聞殺し”」「気配のコントロール、未来を見せない」と書かれていた。

 未来が見える見聞色といえばシャーロット・カタクリが披露した力だが、覇王色はそれすら封じてしまうということなのだろうか。いまだ未知数な部分も多い覇王色の覇気だが、どうやら今後も戦いのカギを握りそうな凶悪な力に思える。

 

 序盤で読むのをやめていた読者が最近の『ONE PIECE』を読んだら、「悪魔の実」の能力以上のポテンシャルを秘めた覇気の存在にきっと驚くことだろう。しかも覇気使いの多くは、悪魔の実の能力も持ちあわせていることも忘れてはいけない。

 どちらにせよ、今後クライマックスに向けて繰り広げられる戦いは、これまで以上にすさまじいバトルになるに違いない。

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