■あまりにも有名なジオン整備兵とのやり取り
ガンダムには「名もなきキャラ」が残した名言も多く、その中でも有名なセリフに「足なんて飾りです、偉い人には分からんのですよ!」というものがある。
これはアニメの第42話で、ガンダムとの最終決戦に向かうシャアが、未完成と聞いていたMS「ジオング」について整備兵と会話するシーンで飛び出したセリフだ。だが、これも劇中のセリフとは微妙に違って広まっている。
実際のシーンを振り返ってみよう。ジオングは80%の完成度だと聞いていたシャアが整備兵に質問すると、彼は「現状でジオングの性能は100%出せます」と憤慨する。さらにシャアが「足はついていない?」と指摘すると、その整備兵は「あんなの飾りです! 偉い人にはそれが分からんのですよ」と返したのが実際の流れだ。
この整備兵のセリフの使い勝手の良さから、「〇〇なんて飾りです!」「偉い人には分からんのですよ」の部分だけ切り取って引用されたため、「足なんて飾りです」と微妙に変化してしまったのかもしれない。
なお、アニメでは名前のなかったジオンの整備兵は、その存在感の高さからか、外伝のゲームや小説、コミックなどにも登場。現在は「リオ・マリーニ」という名前が与えられている。
■νガンダムに乗ったアムロのセリフも実は…
劇場版アニメ『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』でアムロが搭乗した「νガンダム」。このMSに乗ったアムロの「行け、フィン・ファンネル!」というフレーズもよく聞くが、実はアニメ劇中では一度も言っていない。
このセリフが広まったのは、人気ゲーム『スーパーロボット大戦』シリーズで使われたためである。
「スパロボ」シリーズのプロデューサー・寺田貴信氏は、自身の「X(旧twitter)」で、その裏話を紹介している。
寺田氏は、ゲーム中に出てくるアムロの「行け、フィン・ファンネル!」は、「ゲーム(スパロボ)でのアレンジ台詞」と説明。25年以上前の初収録時に、アムロ役の声優・古谷徹氏から、原作にはないセリフだと指摘されたというエピソードも併せて紹介していた。
ガンダムシリーズは多くのファンに愛された作品だけに、日常生活の中で、つい数々の名言を使ってみたくなるもの。そうした流れの中で、相手への伝わりやすさを重視して微妙にセリフが変化していった側面もあるのかもしれない。
皆さんが、いちばん印象に残っているガンダムの名ゼリフは何だっただろうか。