■この人の白目はろくなことがない!? 鷹宮紫織の白目シーン
『ガラスの仮面』にはいろいろな女性が登場するが、読者からもっとも敬遠されている女性といえば鷹宮紫織かもしれない。
紫織はマヤが想いを寄せる真澄のフィアンセだ。登場当初は病弱で優しい女性といった印象があったが、真澄がマヤに想いを寄せているのが分かるとその様子は一変……顔面蒼白とともに白目になり、嫉妬の鬼と化すのだ。
紫織はマヤが写る写真を破ったり、彼女が自分の指輪を盗んだと言いがかりをつけたりする。しかしのちにそのような嫌がらせ行為は真澄にばれてしまい、婚約を破談にされてしまう。
白目になった真澄から「ぼくではあなたを幸せにできない」と言われ、同じく白目になってショックを受ける紫織。その後化粧室へ行き、泣き濡れた白目で取った行動は、あまりにも周りにとって迷惑なものであった。
紫織が白目になるほどショックを受けているときは、ろくな展開がないケースが多いように思う。
■男の嫉妬が満載…速水真澄の白目シーン
最後に紹介したいのは、マヤの運命の人でもある真澄の白目シーンである。真澄は英才教育を受けて育った大都芸能の若き社長であり、登場当初はクールで仕事のできる大人の男性といったイメージだった。
しかし、マヤのことを愛するようになってから真澄は変わっていく。とにかくマヤに近づく男たちに嫉妬しては白目になるのだ。
とくに常にマヤのそばにいる桜小路優への嫉妬は激しい。『紅天女』でマヤの夫役・一真を演じることになった優は、彼女とさらに距離を縮めていく。あるとき、泣き出すマヤの手を握り引き寄せる優。それを見た真澄はやっぱり白目になって、その様子を遠くで見つめていた。
また、優が自分のジャンパーをマヤに着せイチャイチャする様子を見たときの白目も印象に残るものだった。白目のみならず直立不動でショックを受けており、なんともいたたまれない気持ちになったものだ。
このほかにも真澄はマヤとクルーズ船の部屋で2人きりになった時や、嵐の中、2人で過ごした一夜を思い出した際にも白目になっている。
こうした様子はまるで初めて好きな女の子ができた無垢な少年のようで、見ているこちらとしては思わずキュンとしてニヤケてしまう。普段はクールを装う真澄だが、好きな相手の前では自分の気持ちを押し殺すことができず、その嫉妬心やとまどいが白目になって表現されているのだろう。
■番外編:一ツ星学園の演劇部部長はほとんど白目
ちなみに『ガラスの仮面』には、登場当初から最後までほとんど白目だった人物がいる。それが一ツ星学園の演劇部部長である。
彼女はマヤを演劇部の研究発表会に誘った人物であり、マヤのあまりにも凄まじい演技力に何度も冷や汗をかいてショックを受けている。マヤの影響で満席になった会場を見て「たいしたものだわ…これだけの人を集められるなんて…」と、つぶやく部長。
ほとんど白目なので鉄仮面のような印象があるが、マヤの演技力を表現するのに大いに役立ってくれた白目キャラだと言えるだろう。
『ガラスの仮面』の白目シーンは、ときに“心臓が止まった!?”と思ってしまうような衝撃描写として描かれている。しかし読者にとってはその大げさなシーンが魅力であり、本作を語る上では欠かせない重要な表現なのだ。
『ガラスの仮面』は未だ完結しておらず、紅天女の行方もどうなるか分かっていない。再び登場人物が白目で登場するドラマチックな物語の続きを、早く読みたいものである。