早く続きが読みたい少女漫画といえば、1975年から『花とゆめ』(白泉社)で連載が始まった美内すずえ氏による『ガラスの仮面』だろう。本作は演劇の天才少女である北島マヤが、ライバルとの戦いや数々の試練を乗り越え演劇の世界で頂点を目指す物語である。
『ガラスの仮面』といえばその情熱的なストーリーも有名だが、“白目描写”もかなりのインパクトを誇る。何かしら衝撃を受けたときにキャラが見せるこの白目描写は物語に大きな印象を与えるからこそ、読者の脳裏に焼き付くのであろう。
今回はそんな『ガラスの仮面』に登場する、印象的な白目描写のシーンをピックアップしてみたい。
■マヤは演技中に白目になることが多い
まずは、主人公である北島マヤが白目になるシーンを紹介したい。マヤは自分が思い悩むときや、ひそかに想いを寄せる速水真澄の動向によって白目になりがちだ。しかしもっとも白目になるのは、演技中である。
たとえば「ふたりの王女」のオーディションでのこと。マヤは料理に毒を入れるべきか逡巡する演技を披露した。4時間後には心臓マヒと同じ症状で死ぬ……覚悟を決めたような演技をするマヤの目は真っ白になっていて、それを見た審査員達も思わず息を呑むのであった。
マヤはこのほかにも、紅天女の課題の1つである水の演技をする際に迫力のある白目で龍神を演じるなど、何かしらの役になりきった時に白目になることが多い。その瞬間はちょっぴりホラー感があるものの、彼女が役に憑依した瞬間だといえるだろう。
■ライバルを陥れるのは許さない…姫川亜弓の白目シーン
マヤの永遠のライバル、姫川亜弓もしょっちゅう白目になっている。亜弓の代表的な白目シーンといえば、「紅天女」の主役の座をめぐってマヤと白目同士でにらみ合うシーンだろう。
しかし亜弓が凄まじい怒りとともに白目になったのが、マヤを汚い手で陥れた乙部のりえへの復讐シーンであった。
のりえは当初、付き人のような存在としてマヤに近づき、卑怯な手で彼女を陥れ主役を手にする。役者人生を断たれるほどの窮地に陥るマヤに対し、嫉妬をしていた亜弓の取り巻きたちも“女優生命はこれで絶たれた”、“いい気味だわ! 紅天女はあなたのものよ亜弓さん!”などと喜ぶ。それに対し、物凄い怒りとともに白目になって彼女たちを睨みつける亜弓。悪口を言っていた取り巻きたちはその表情を見て「こわ…」と、震え上がるのであった。
その後、亜弓はのりえの主演舞台に立ち、完全に主役を食う。迫力のある白目で見事吸血鬼カーミラを演じてのりえを絶望させ、大切なライバル・マヤの敵を討つのだ。
演劇界の正義を守るために行動した、本作屈指の印象的な白目シーンだろう。