最高視聴率31.0%!田原俊彦主演の名作ドラマ『教師びんびん物語』が描いた「教師という生き方」のリアルの画像
田原俊彦  写真/ふたまん+編集部

 “トシちゃん”の愛称で親しまれている田原俊彦さんといえば、現在でもキレキレのダンスが健在の永遠のアイドルだ。2024年の年末にはWOWOWにて「45th ANNIVERSARY TOSHIHIKO TAHARA DOUBLE ‘T’ TOUR 2024 愛だけがあればいい」が放送予定であり、その活躍に注目が集まっている。

 1980年代、アイドル歌手として一世を風靡した田原さんだが、俳優としても大成功を収めている。それが1988年にフジテレビ系列で放送された『教師びんびん物語』だ。

 本作は田原さんが小学校の熱血教師・徳川龍之介を演じ、後輩キャラの野村宏伸さん演じる榎本英樹とのコンビネーションもあって大人気となったドラマで、シリーズ化もされている。当時、夢中になったという人も多いのではないだろうか。

■大人気『びんびん』シリーズは全部で3作!

 田原さん主演の『びんびん』シリーズは、スペシャル版を除くと全部で3作。まずは、1987年に放送された『ラジオびんびん物語』、88年の『教師びんびん物語』、そして89年の『教師びんびん物語II』だ。

 ただ、『教師びんびん物語』は知っていても、第一作の『ラジオびんびん物語』を知らない人は多いかもしれない。

 『びんびん』シリーズ1作目はラジオ局のニッポン放送が舞台になっている。本ドラマは田原さん演じるなにをやってもうまくいかない営業マン・徳川龍之介の奮闘を描いた青春ストーリーだ。

 彼が憧れるマドンナ・田島響子を演じたのは池上季実子さん。そのほかにも鈴木保奈美さんや山下真司さん、本木雅弘さんなどそうそうたる豪華俳優陣が登場しており、シリーズでお馴染みの野村宏伸さんも共演している。

 そして2作目に作成された『教師びんびん物語』は、物語をラジオ局から小学校に移し、龍之介の役柄も営業マンから小学校の熱血教師に変わった。田原さんが演じるちょっと大げさな教師役の演技もマッチし、ヒット作となったのである。

 『教師びんびん物語』の第1話は、龍之介が食事をしている最中にいきなりショベルカーが来て部屋をぶち壊すところから始まる。今ではなかなか考えられない設定だが、バブルの時代はこうしたとんでもないシチュエーションが多かった。そうしたややトンデモな内容もひっくるめて、見どころ満載の面白いドラマであった。

 最高視聴率も『教師びんびん』が24.9%、『教師びんびんII』が31.0%とかなり高く、当時の人気の高さがうかがえる。

■野村さんとのコンビも最高! これまでにない教師ドラマを作った作品

 『教師びんびん物語』がヒットした要因の1つに、田原さん演じる先輩教師の龍之介と、野村さん演じる後輩教師の榎本英樹とのコンビネーションがある。

 龍之介はまっすぐに子どもたちと向き合う熱血教師だが、榎本はちょっと頼りない感じもある気弱な教師だ。龍之介は子どもたちのためなら無謀なこともするタイプで、気弱な榎本はよく引っ張りまわされていた。

 そんな対照的な2人のコンビは物語が進むごとに人気となり、榎本が困った顔でいう「せんぱ~い」というセリフは、ドラマが放送されていた当時流行しており、どこかしこで耳にした記憶がある。

 この『教師びんびん物語』は、それまでにない教師のドラマでもあった。『スクール☆ウォーズ』や『3年B組金八先生』(ともにTBS系)が生徒に熱くぶつかり合うスタイルだったのに対し、『教師びんびん物語』は教師自身の生き方や考え方、過去にも焦点を当てていたのが特徴だ。

 たとえば、萩原流行さん演じる一見やる気のない教師の満田亀造。しかし虐待を受けるなどの壮絶な生い立ちを持っており、物語終盤には自身の教師としての生き方と向き合うこととなる。

 また舞台となる小学校も再開発の影響を受け、廃校の危機を迎える。教師と生徒一丸になって廃校問題へと立ち向かうものの、時代の波には逆らえなかったという結末はとてもリアルだった。

 このように『教師びんびん物語』は教師の葛藤や成長を描く新しい切り口で、話題と感動を呼んだのだった。

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