『ストリートファイターZERO2』『ワイルドトラックス』『テイルズオブファンタジア』も…スーパーファミコンの性能を超越した「驚異の神タイトル」の画像
スーパーファミコン版『ストリートファイターZERO2』(カプコン)オープニング映像より (C)CAPCOM CO.,LTD.1996 ALL RIGHTS RESERVED.
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 昔の家庭用ゲーム機はハードの性能が低く、ゲームソフトの開発時に苦慮されたことでも知られています。ファミコンからスーパーファミコンへと世代が変わったときはハード性能の進化に驚いたものですが、プレイステーションセガサターンといった次世代機が登場した頃になると、そのスーファミでも力不足を感じるようになりました。

 しかし、そんなスーファミ時代のゲームソフトのなかには、開発陣が知恵と技術を駆使し、ときには力業によって、ゲームハードの限界を超えるようなタイトルも生まれています。

 そんなクリエイターたちの努力の結晶ともいえる、ハードの限界を突破したと感じたロマンあふれるスーファミソフトを振り返ってみたいと思います。

■誰もがSFC移植に驚いた『ストリートファイターZERO2』

 まず、1996年12月20日に発売された『ストリートファイターZERO2』(カプコン)です。アーケードゲームからの移植作で、当時の次世代機にあたるプレイステーション版やセガサターン版に続いて、スーファミに同作が移植されたことで驚いたファンも多いはず。

 元となったアーケード版は96年3月稼働開始なので、当時のゲームセンターでも現役稼働中だった人気タイトルでした。

 当然のことながらスーファミ版は映像の美しさでは他機種版に及ばず、ボイスが少なかったり、キャラクターも小さく描画されたりしています。またラウンド開始時には、ロード時間のような若干のタイムラグがありました。

 しかし、ゲームの操作感やゲーム内容に遜色はなく、使用可能なキャラクター数も変更がなかったため、驚くべき「神移植作」となっています。その秘密は32メガビットの大容量ロムに加えて、カセットにデータを圧縮するための特殊チップが搭載されたおかげといわれています。

 明らかにスペックが劣るスーファミで、現役のアーケードゲームを可能なかぎり再現してみせた開発スタッフの創意工夫と熱意が感じられた作品です。

■洗練されたポリゴン映像にビックリ『ワイルドトラックス』

 続いては1994年6月4日に発売されたレースゲーム『ワイルドトラックス』(任天堂)です。同作には『スターフォックス』(任天堂)にも使用された「スーパーFXチップ」という3次元描画を強化する特殊回路が搭載され、ポリゴンで描写された3D空間でのレースが楽しめます。

『スターフォックス』の自機「アーウィン」は三角形のポリゴンを組み合わせたシンプルな形状でしたが、同作ではしっかりと「車」と分かるモデリングで、技術の進歩が見られます。

 能力の異なる全5種類の車(ボーナスコースのみの車種も含む)を操作することが可能で、3Dで描かれたコースの造形も見事。立体交差や海中トンネルがあるだけでなく、天候や時間の変化などもしっかり表現されていました。

 各車の挙動や細かい映像描写は、とてもスーファミのゲームとは思えないほどリアルで、まさにハードの限界を超えたと感じた作品です。

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