国民的人気を誇る海洋冒険ロマン『ONE PIECE』(尾田栄一郎氏)の見どころは、主人公のモンキー・D・ルフィの痛快な勝ちっぷりにある。悪行を力で押し通そうとしてくる強敵たちを、苦闘の末にルフィがぶっ飛ばすエピソードは、胸がスカッとするほど爽快だ。
しかし、ルフィは決して常勝ではなく、強敵に一度は負ける展開が目立つ。それどころか、結局勝てていない相手もいるのだ。“四皇”にまでのし上がったルフィに勝ちっぱなしとは、はたしてどんなキャラなのだろう。
今回は、ルフィの天敵と呼ぶべき強者を紹介していく。
■ギアシリーズ開発のきっかけにも…“青キジ”クザン
まずは、元海軍本部大将“青キジ”ことクザンだ。海をも凍らせる“ヒエヒエの実”の能力者であり、ダラけきった性格とは裏腹に世界最高戦力の一角に数えられた猛者である。
ルフィとクザンの初戦闘は、麦わらの一味が偶然立ち寄ったロングリングロングランドでおこなわれた。これまで多くの悪党をぶっ飛ばしてきたルフィの“ゴムゴムの攻撃”をものともせず、逆に手足を凍らせるクザン。
そして、ルフィが一か八かで仕掛けた大技「ゴムゴムの暴風雨(ストーム)」を「アイスタイム」で返し、その全身を氷漬けにするのだ。元王下七武海、サー・クロコダイルを倒した「ゴムゴムの暴風雨」があっさり破られてしまい、ルフィのみならず読者もショックが大きかった。
だが、クザンの存在は悪いことばかりではない。ルフィはクザン戦をきっかけに新たな戦闘スタイル「ギア」の開発に取り組み出した。ニカの力を引き出すまでに至った「ギア」は、クザンがいてこそ生まれたといえるのだ。
■これはもはや“四皇殺し”だ! インペルダウン署長マゼラン
続いては、海底に沈む大監獄「インペルダウン」の監獄署長マゼランだ(現在は副署長)。“ドクドクの実”を食べた“毒人間”であるマゼランは、その凶悪な能力でルフィを大いに苦しめた。
マゼランが全身から分泌する毒は常人なら触れただけで死に至る猛毒であり、素手で戦うルフィにとってはそれだけで天敵だ。しかも毒の状態は液体、ガス、固体と自由に調整できるため、逃げ隠れるのもままならない。世界中の極悪人を集める大監獄を支配するにふさわしい、チートじみた力の持ち主だ。
そんなマゼランとルフィの対決は、“戦い”とは呼べないほど一方的なものだった。ルフィに自分の体を攻撃させて毒漬けにし、トドメに「毒竜(ヒドラ)」で致死性の麻痺毒を浴びせて完勝。ルフィはMr.2・ボン・クレーやエンポリオ・イワンコフの助けで一命をとりとめたが、それがなければ確実に死んでいただろう。
マゼランは、同じタイミングでインペルダウンに襲来した黒ひげ海賊団も一蹴しており、こちらもシリュウの裏切りがなければ制圧できていたのは間違いない。未来の四皇2人に勝利をおさめ、読者から「あいつが最強なんじゃないか?」と囁かれているのがマゼランという男である。
ここまでくると「ルフィの天敵」を飛び越えて「海賊の天敵」ともいえそうだ。