■未来のエネルギーを見越した描写「液体水素」
コミックス4巻「二重惑星のラーラ」というストーリーで「完全機械化」という駅に降り立った鉄郎とメーテル。
この星は、生身の体の人間は誰一人いない機械化人ばかりの星であった。街並みは機械の部品のような通りが並び、噴水はオイルでできている。水飲み場はあるものの、そこから湧き出る水は爆発しないように調整した液体水素であった。
その後、飲食店に入った2人。鉄郎は提供された飲み物をストローで飲むのだが、直後に爆発してしまう。なんと飲料は液体水素であり、人間の鉄郎の体では消化できず爆発してしまったのだ。
このエピソードから、本作に登場する機械人間に必要なエネルギーは液体水素だということが分かる。
液体水素は、現在においてもロケットの打ち上げなどに利用されているエネルギーだ。また水素エネルギーは燃焼してもCO2を排出しないことから、環境にやさしいエネルギーとして注目されている。しかし、静電気などわずかな火元でも爆発してしまうというリスクをはらんでいる。
『銀河鉄道999』ではそんな液体水素を作中にたくさん登場させ、鉄郎が口に含んだとたん爆発する描写も含め、リスクについても提示している。当時としては非常に先進的なアイデアで描かれたストーリーと言えるだろう。
このように『銀河鉄道999』には、現代社会にも通用しそうなアイテムがたくさん登場している。なかには、上述した「食品保温プレート」のように、似た商品が生まれているのも事実だ。
そう考えると、いつの日か999号のような“宇宙を走る列車”に乗れる日が来るのかもしれない。科学技術が進化するなか、その可能性は決してないとは言い切れないだろう。そんな夢のような未来を、この目でぜひ見てみたいと思ってしまう。